講演情報

[I-P01-6-03]二心室修復を目指して管理している心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症の検討

中島 光一朗1, 林 勇佑1, 西原 卓宏1, 八浪 浩一1, 深江 宏治2 (1.熊本市民病院 小児循環器内科, 2.熊本市民病院 小児心臓外科)
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キーワード:

PA-IVS、二心室修復、右心系

背景:心室中隔欠損症を伴わない肺動脈閉鎖症(PA-IVS)は右心室(RV)の容積や構造, 三尖弁(TV)の形態や弁輪径(TVD), 右室冠動脈類洞交通による右室依存性冠循環の有無などにより, 二心室修復(BVR)か,フォンタン手術を目指すか判断される.当院ではBVR可能と判断した症例(BVRs)に対しては, 第一段階手術で右室流出路形成術(RVOTR)およびシャント手術(可能な症例では経皮的肺動脈弁形成術(PTPV))を行い, 以後の経過により心房中隔欠損(ASD)閉鎖術を検討する. 目的/方法:過去25年間で当院にて管理したPA-IVSおよび類似血行動態であるcritical PS(cPS)を含めて, 後方視的に検討し, BVRsの傾向・経過を明らかにする. 結果:PA-IVS 29症例, cPS 2症例あり, うちBVRsは13症例あり, PTPV施行例は認めなかった. BVRsの内訳はPA-IVS 12例, cPS1例. RVOTR後にFontan手術の方針となった症例を5例認め, BVRs以外でBVRの方針に変更した症例は認めず. BVRsのうちASD閉鎖術に至った症例は2例であった. BVRsのうちBVR管理中の8症例(B群)とFontanの方針に変更した5症例(F群)で比較検討した.RVOTR直後の経胸壁心エコーにおけるTVDの正常に対する比率(% of normal; %N))で中央値がB群:81.65(65.3-110.6), F群:65.9(47.6-93.0), p=0.031と有意差を認め,右室拡張末期容積(RVEDV)の正常に対する比率(% N)でB群:81(59-115), F群:54.85(30-74), p=0.061, RV-TV index(Yoshimura et al)ではB群:0.66(0.22-1.27), F群0.49(0.14-0.68),p=0.07と有意差を認めなかったが,いずれもB群が大きい傾向を認めた.F群にはTVDやRVEDVが十分だが三尖弁異形成のためFontanの方針となった症例を2例認めた.考察/結論: PA-IVS血行動態に於いてはFontan適応となる症例が大半でBVRを目指せる症例は少なく, BVRを目指すには主に右心系の構造や大きさが重要な要素となる.