講演情報

[I-P02-1-01]当院で経験した先天性完全房室ブロックの4例

山碕 涼太1, 犬飼 幸子1, 杉浦 純也2 (1.日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 小児科, 2.日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 心臓血管外科)
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キーワード:

先天性完全房室ブロック、新生児、ペースメーカー

【背景】先天性完全房室ブロックは90%以上の症例にペースメーカ植込みが必要となることが多く、そのうち50-60%が新生児期に必要とされるが、適切な治療時期は症例毎に異なる。当院で経験した先天性完全房室ブロック4例を提示する。4例ともに母体抗SS-A抗体陽性であった。【症例1】胎児診断あり。胎児心室拍数は55~60台/分で心不全徴候を認めず、在胎37週、2430gで出生。出生後は心室拍数60台/分で心不全徴候なく日齢14に退院。1歳10ヶ月時に恒久的ペースメーカ植込み術(右室心筋リードVVIモード)を行った。【症例2】胎児診断あり。胎児心室拍数は50台後半で心不全徴候を認めず在胎37週、2088gで出生。出生後は心室拍数50台前半/分で推移したが心不全徴候を認めず日齢14に退院。1歳5ヶ月時に恒久的ペースメーカ植込み術(右室心筋リードDDDモード)を行った。【症例3】胎児診断あり。胎児心室拍数40台/分で胎児水腫を認め在胎32週2500gで出生。出生後は心室拍数20~30/分で出生直後に一時的体外式ペースメーカ植込み術、日齢26に恒久的ペースメーカ植込み術(右室心筋リードVVIモード)を施行した。【症例4】胎児診断あり。胎児心室拍数は56/分程で心不全徴候を認めず在胎38週2950gで出生。心室拍数は出生時57/分、イソプロテレノール持続投与を開始し65/分程に上昇した。動脈管が6.2mmと太く、生後5時間で乳酸値上昇が認められ、徐脈に伴い左右短絡量が増加、循環不全と判断し日齢0に動脈管結紮術、一時的体外式ペースメーカ植込み術を施行、日齢6に恒久的ペースメーカ植込み術(右室心筋リードVVIモード)を行った。【考察】心室拍数が55未満でも新生児期に治療を必要としなかった症例や、胎児水腫や動脈管開存を伴い日齢0に治療を必要とした症例もみられた。心室拍数だけでなく、全身状態や動脈管など多角的な視点から治療介入の時期を見極める必要がある。