講演情報
[I-P02-1-05]小児上室性頻拍に対するカテーテルアブレーションの遅延効果
○長岡 孝太1, 杉山 幸輝1, 高尾 浩之1, 湯浅 絵理佳1, 森 仁2, 戸田 紘一1, 鍋嶋 泰典1, 小島 拓朗1, 加藤 律史2, 小林 俊樹1, 住友 直方1 (1.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科)
キーワード:
上室性頻拍、カテーテルアブレーション、遅延効果
【背景】高周波カテーテルアブレーション(CA)の急性期不成功例でも、その後一定の期間後に治療効果が得られるlate successの存在は知られているが、詳細は不明である。今回異なる上室性頻拍でlate successを認めた症例を経験したので報告する。【症例】症例1)8歳男児。診断は顕性WPW症候群、頻拍発作を繰り返すためCAを施行した。電気生理学的検査では三尖弁輪9時方向に存在する副伝導路を介した順方向性房室回帰性頻拍と診断し、同部位に通電を行った。副伝導路の順伝導・逆伝導がともに消失したことを確認し手技を終了したが、翌日の朝にデルタ波の再発を認めた。無投薬で経過観察し治療後約3年でデルタ波が再び消失。以後は頻拍発作もデルタ波の再発も認めていない。症例2)9歳男児。1か月健診で200bpmの頻拍を指摘され、ATPおよびDCが無効でアテノロールを開始されたが効果なく、ソタロールが追加され15日後に洞調律に復帰した。1歳11か月時に頻拍が再燃したため再度ソタロールが開始され5日後に洞調律に復帰した。9歳時にも頻拍が再発。150-160bpmの異所性P波が3:2伝導し心拍数は100-110bpmであった。薬物療法でリズムコントロールが得られず、CAを施行した。右房の上大静脈接合部自由壁側を再早期興奮部位とする局所起源心房頻拍と診断し、同部位に通電を行ったが、右横隔神経不全麻痺が生じたため治療を断念。その後、症状が自制内のため無投薬で経過を見ていたがincessantに心房頻拍は持続した。再度CAを検討していたところ約1年後から症状が消失し心房頻拍はほぼ認めなくなった。【考察】CAによるlate successの機序として二次性の炎症反応波及や線維化などの関与が推察されているが、はっきりとしたことはわかっていない。加えて小児では副伝導路や心室期外収縮の自然消失なども知られており、成長に伴う変化がlate successに影響を与えている可能性も考慮する必要がある。文献的考察を含めて報告する。