講演情報

[I-P02-1-06]無症候性WPW症候群における副伝導路の電気生理学的特徴

高見澤 幸一, 佐藤 一寿, 吉田 葉子, 鈴木 嗣敏, 杉山 央, 中村 好秀 (大阪市立総合医療センター)
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キーワード:

無症候性WPW、電気生理学的検査、カテーテルアブレーション

背景学校心臓検診では無症候性WPWに遭遇する機会が多いが、電気生理学的特徴に関する研究は限られている。目的無症候性WPW症候群における副伝導路(AP)の電気生理学的特徴を詳細に検討すること。方法2008年から2024年に電気生理学的検査(EPS)およびカテーテルアブレーション(CA)を受けた19歳以下の無症候性WPWを対象とした。逆行性伝導の有無、副伝導路の位置、伝導特性、転帰を検討した。結果対象患者76例の年齢は11.4±3.7歳、体重は40.3±14.7 kgであった。APの位置は、左側43.4%、右側27.6%、中隔29.0%であった。順行性伝導のみの症例は31.6%で、逆行性伝導を有する症例は68.4%であった。副伝導路の位置による逆伝導の有無の偏りは認められなかった。(p=0.84)。9例で心房細動が、8例で房室リエントリー性頻拍が誘発された。心房ペーシング時の最も短いデルタ波を伴うRR間隔(SPERRI)は319.5±39.2 ms、副伝導路有効不応期(APERP)は313.3±35.2 msであった。逆行性伝導を有する群ではSPERRIが有意に短かった。また左側副伝導路はAPERP、SPEERIが有意に短かった。CAの成功率は100%で、再発率は9.9%であった。再発率は逆行性伝導を有する群で高い傾向にあったが、有意差は認められなかった(3.7% vs. 13.0%, p=0.26)。全例で合併症は認められなかった。考察順伝導のみの症例は3分の1であり、症候性WPWも含めた過去の報告では10%未満とされていたが、より多いことが分かった。副伝導路の位置に偏りは認めなかった。突然死のリスクは逆伝導を有する群と左側副伝導路でより高い可能性が示唆された。