講演情報
[I-P02-1-07]HD gridカテーテルを用いてアブレーション治療を行った左心耳起源巣状心房頻拍の一例
○中川 亮 (石川県立中央病院 小児内科)
キーワード:
カテーテルアブレーション、心房頻拍、左心耳
【緒言】左心耳は心房頻拍の起源となりうるが、構造が複雑で心房壁も薄いためアブレーション治療では心タンポナーデなどの合併症のリスクがある。近年、様々な形態の多極マッピングカテーテルが開発され、格子状の多極マッピングカテーテルであるHD gridカテーテルも短時間に安全なマッピングが可能であることが報告されている。しかし、HD gridカテーテルを用いた左心耳起源巣状心房頻拍のアブレーション治療の報告はない。【症例】13歳女性。体重46kg。中学1年生の学校心臓検診で頻回上室期外収縮を指摘され当院を受診した。自覚症状として軽度の動悸を認めていた。安静時心電図ではtachycardia cycle length 650ms、incessant typeの心房頻拍であり、I誘導陰性、II/III/aVF誘導陽性、V1誘導陽性のP波から左上肺静脈もしくは左心耳起源の巣状心房頻拍と診断した。NT-proBNPの上昇や心機能の低下は認めず、心構造異常も認めなかった。ホルター心電図では終日心房頻拍の状態であった。本人および家族の同意を得てアブレーション治療を行った。静脈麻酔で鎮静し、3DマッピングシステムはCARTOを使用した。鎮静後も心房頻拍は消失せずactivation mappingが可能であった。心房中隔穿刺を行い、肺静脈と左心耳では左心耳の早期性が良好であったため、左心耳起源と判断した。左心耳のactivation mappingではHD gridカテーテル(OPTRELL)を使用し、6分間に2158点のマッピングが可能であった。左心耳遠位端が最早期部位であると判断し、通電を試みるもbumpを繰り返した。最終的には心房頻拍は出現しなくなったため、洞調律中に最早期部位で通電し、治療は終了した。治療後3か月時のホルター心電図ではわずかに心房頻拍を認めるも自覚症状なく経過している。【結語】左心耳起源巣状心房頻拍においてHD gridカテーテルを用いても安全にアブレーション治療が可能であった。