講演情報

[I-P02-1-08]心停止から蘇生された三尖弁輪7時方向に順伝導・逆伝導遅伝導路を有する稀有型房室結節リエントリー性頻拍の1例

鍋嶋 泰典1, 森 仁2, 長岡 孝太1, 住友 直方1 (1.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科)
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キーワード:

房室結節リエントリー性頻拍、稀有型、院外心停止

症例は13歳女性。運動時心停止に対しAEDが作動し蘇生された。原因精査目的にEPSを行った。房室伝導は二重房室結節伝導特性を認めた。室房伝導はjump upを認めずVA 258msと伝導時間が長く最早期心房興奮部位は三尖弁輪7時方向だった。Para Hisian pacingはnodal patternであり、右室期外刺激でVA jump upを伴わずにlong RP' tachycardiaが誘発された。頻拍は房室ブロックを伴いながらも持続し、心房興奮順序は右室ペーシング時の逆伝導と同様で、右室よりentrainment pacingを行うと頻拍は捕捉され、PPI-TCL =152msだった。右室単発刺激で心房を捕捉せず頻拍が停止する所見が得られ心房頻拍は否定的と考えた。以上より本頻拍は三尖弁輪7時方向に逆伝導 slow pathwayを有するslow-slow AVNRTと診断した。また血圧低下を伴う2種類の変行伝導を認めたが心室性不整脈は誘発されず、本頻拍が心停止の原因と考えられた。心房最早期興奮部位への通電後slow-fast AVNRTが誘発されたが、同部位周囲への追加通電後は順伝導の二重房室結節伝導特性も消失し、fast pathwayを介した逆伝導のみ認めた。本例は順伝導・逆伝導とも三尖弁輪7時方向にslow pathwayを有する興味深い症例と考えられた。