講演情報
[I-P02-1-09]小児ベラパミル感受性心室頻拍における臨床的特徴の検討
○轉馬 珠美, 竹田 義克, 藤田 修平 (富山県立中央病院 小児科)
キーワード:
べラパミル、カテーテルアブレーション、心室頻拍
背景:小児におけるベラパミル感受性心室頻拍(VT)は小児の特発性心室頻拍の中で比較的頻度の高い疾患であり,一般的に予後は良好とされている.目的:小児におけるベラパミル感受性VTの診断、転帰について考察する.方法と対象:2011年-2024年に当院で経験したべラパミル感受性VTの8例を対象に診断,転帰について診療録をもとに後方視的に検討した.結果:診断時の年齢は中央値8.5歳(1-14歳)で,男児6例,女児2例.うち幼児例は2例であった.診断時の主訴は動悸が4例,発熱時の頻脈の精査で診断した症例が2例(いずれも幼児例),嘔吐が1例,無症状で学校心臓検診により発見された症例が1例であった.診断時の心拍数は中央値174bpm(125-260bpm)であった.心電図検査ではいずれも右脚ブロック,左軸変異パターンを呈し, QRS幅は中央値136msec(116-225msec)であった.また,当院初診時の心エコー図検査では左室駆出率は中央値73%(65-81%)であった.初期治療として,ATPを投与された症例が4例であり、そのうち1例はATPに感受性があったが再発した.薬物治療を行った症例は7例で,全例にベラパミルが使用された.そのうち,ビソプロロール,アテノロールを併用した症例が各1例ずつあった.乳幼児期に診断された2例を除く6例は当院で定期通院しており,4例は11-14歳時にカテーテルアブレーションを施行された.そのうち3例は薬物治療で発作の再発があり,1例は患者希望のため行われた.術後左脚後枝ブロックは認めず、4例とも1年以上再発なく経過している.無症状で学校心臓検診を契機に診断された1例は,薬物治療で再発なく経過している.当院通院症例では全症例で心機能低下はなく心不全症状も認めていない.結論:べラパミル感受性VTは適切な薬物治療とカテーテルアブレーション治療により良好な管理が可能な心室頻拍である.