講演情報

[I-P02-2-04]冠動脈対側冠動脈洞起始の臨床像および管理方針の検討

大西 佑治, 中川 直美, 守家 将平, 岡本 健吾, 福嶋 遥佑, 片岡 功一, 鎌田 政博 (広島市立広島市民病院 循環器小児科)
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キーワード:

冠動脈対側冠動脈洞起始、突然死、冠動脈壁内走行

【背景】冠動脈対側冠動脈洞起始は運動時心筋虚血、それによる突然死の可能性が指摘されているが、発症前の診断は困難でその臨床像は明らかでない。また診断後の管理、治療方針についてもいまだエビデンスはない。当院での診断、管理の状況について検討した。【対象・方法】2005年以降に診断した 16例 (男10女6)。診療録に基づき後方視的に検討した。【結果】診断年齢:0.2-13 (中央値 7)歳、最終年齢:2-27 (12)歳、診断:右冠動脈左冠動脈洞起始 (R from L)15例、左冠動脈右冠動脈洞起始 (L from R)1例。診断契機:胸痛4例、先天性心疾患/川崎病/学校検診の検査中12例。初診断の手段:UCG 14例。2005年診断の1例は川崎病+胸痛に対し実施した血管造影で、L from Rの1例はST異常を伴う胸痛精査の造影CTで診断。全例安静時心電図でST変化なし。R from L15例のうち、エルゴメーター and/orトレッドミル9例、マスター and/orホルター3例でいずれもST変化は出なかったが、運動時胸痛、顔面蒼白の1例はTnT上昇も見られ学校管理D、胸痛で診断の1例と突然死の家族歴/失神のある各1例はE禁、11例はE可(2歳の1例は対象外)で管理し、ニアミス・SDなし。L from Rの1例は運動時心筋虚血で緊急入院し発症19日後に左冠動脈形成術を実施。退院後のトレッドミルでST変化なく学校管理D。【考察・まとめ】当院でも近年の診断例が増加しているが、疾患の認識率が上昇しUCG時により注意を払うようになったことが関連していると考えられる。有症状例でも運動負荷試験で心筋虚血が顕性化しておらず、運動負荷試験の感度が必ずしも高くない可能性がある。適正な運動管理、手術介入の基準を考えるにはさらなる症例の集積と解析が必要と考えられる。