講演情報

[I-P02-2-08]冠動静脈瘻の治療経過 ~何を選択する?~

川本 祐也1, 馬場 健児1, 豊田 裕介1, 原 真祐子1, 平井 健太1, 重光 祐輔1, 栗田 佳彦1, 近藤 麻衣子1, 笠原 真悟2 (1.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 小児医科学, 2.岡山大学学術研究院医歯薬学域 心臓血管外科)
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キーワード:

CAVF、カテーテル治療、抗血栓療法

(緒言)冠動静脈瘻(CAVF)は治療適応、方法、術後抗血栓療法について、施設毎に方針が異なりその選択に苦慮することがある。当院で治療を行った症例経過をまとめた。(方法)1995年1月から30年間に当院で治療を行った症例を診療録を元に後方視的に検討した。(結果)症例は9例で女児7例。診断契機は心雑音7例、胸痛1例、胎児期心拡大が1例で、全例心電図上虚血性変化は認めなかった。術前カテーテル検査は8例で行い、治療方法は2例カテーテル治療(コイル塞栓)、7例外科手術だった。1例は単一冠動脈合併があった。治療後、遺残短絡2例あり、1例経過観察中、1例後日コイル塞栓を追加していた。術後1年以上経過し拡大冠動脈が残存していた症例は3例あった。術後抗血栓療法は全例抗血小板薬投与し、3例は抗凝固薬との2剤併用だった。2剤併用群は術後カテーテル検査の結果を踏まえ2例で単剤に減薬している。また、2例は術後3ヶ月で内服中止していた。(考察)CAVFの治療では治療法、術後抗血栓療法の選択を明言したガイドラインがないので苦慮する。治療適応は、当院では冠動脈拡大の有無、心室容量負荷、虚血の有無などを評価し決定する。治療法は選択的冠動脈造影やバルーン閉鎖試験などを行い、外科と協議し、カテーテル治療と外科治療をお互いに検討してより良い方法を選択している。全例で治療後抗血小板薬導入し、カテーテル治療症例は抗凝固薬も併用している。外科治療後でも川崎病ガイドラインに準じ冠動脈拡大のある1例で抗凝固薬追加し、遺残短絡なければ3ヶ月で中止していたが、異物の入るカテーテル治療例では急性冠症候群ガイドラインに準じ抗血栓療法を継続している。上記戦略で全例問題なく経過している。(結語)CAVFの治療方針は施設間にて差異はあるが、いずれの方法も安全に行えていた。川崎病ガイドラインや急性冠症候群ガイドラインも良い参考となると考えられる。