講演情報

[I-P02-2-09]冠動脈瘻による冠動脈拡大の経時的変化

喜多 優介, 梶山 葉, 井上 聡, 河井 容子, 池田 和幸 (京都府立医科大学 小児科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

Coronary artery fistula、抗血栓療法、遠隔期

【背景】Coronary artery fistula (CAF)は、右心系に接続すると血流量の増加から冠動脈拡大を呈する。中等度以上の瘻孔は外科的、カテーテル治療で閉鎖することが勧められるが、治療後のフォローアップについて指針はない。【目的】CAFによる冠動脈拡大の経時的変化および合併症を明らかにし、至適フォローアップについて検討する。【対象・方法】2000年-2024年の25年間で、当院で経過観察を行なっているCAFを診療録等を用いて後方視的に検討した。CAF形態は多彩であるため、RCA-RA/RVのsakakibara typeAに絞って検討を行った。【結果】当院で診療加療を行ったCAF(RCA-RA/RVの sakakibara typeA)は4例(男3)、年齢7-25歳、観察期間は6-22年、CAF閉鎖術施行は3例、うち1例は残存シャントあり。内科療法のみは1例。外科治療を行った3症例のうち、抗血栓療法としてWarfarin(W)とアスピリン併用2例、Wのみ1例。内科療法のみの症例はASAのみ。3例は無症状、心原性脳梗塞1例。4症例すべてにおいて、冠動脈拡大部/大動脈径比で経時的変化は認められず、残存シャント例、未治療例において経時的拡大も認めなかった。心原性脳塞栓を起こした症例は、術後6か月でWを中止、ASAのみとしたところ、術後14年時に脳塞栓症を発症、W内服を再開した。【考察】CAF閉鎖術は中等度以上の拡大を持つ、虚血所見があるなどの症例に行われる。一方で閉鎖術後は血栓予防のため、少なくとも1年の抗血小板療法が勧められており、無症状症例の手術適応には議論がある。【結語】未治療例を含めCAFの冠動脈拡大部/大動脈径比は一定で経過し、血栓形成の一因となりうる。閉鎖術の有無にかかわらず、抗血栓療法とフォローが重要である。