講演情報

[I-P02-3-01]Criss Cross Heartの胎児診断率向上を目指して

築野 一馬, 百木 恒太, 中村 佑輔, 大森 紹玄, 増田 詩央, 真船 亮, 河内 貞貴, 星野 健司 (埼玉県立小児医療センター 循環器科)
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キーワード:

Criss Cross Heart、胎児診断、心ループ

【背景】Criss Cross Heart(CCH)は心室の流入路が交叉することを特徴とする稀な複雑心奇形である。二心室修復が困難な症例が多く、胎児診断が重要な疾患だが、診断には難渋する。【目的】CCHの胎児診断における困難さの原因を考察し、胎児診断の向上に活かすこと。【対象と方法】2017年-2024年に当院にて手術介入を行ったCCH症例について診療録とViewPalから後方視的に検討した。【結果】Concordant CCHが3例、Discordant CCHが1例であった。症例1:心室が上下の関係であり、当院にて胎児診断に至った。症例2:心室は斜めの関係であり、前医で心内奇形を指摘されたが、当院受診前に切迫早産で出生したため、胎児診断に至らなかった。症例3:前医で正常構造と判断されており、生後に当院へ救急搬送された。心室関係は斜めであった。症例4:心室は左右の関係であり、異形成の共通房室弁を伴う完全房室中隔欠損症、修正大血管転位症と胎児診断したが、生後にCCHと判明した。 【考察】CCHは心ループの異常により発症すると言われている。D-loopでは心尖から時計回転、L-loopでは反時計回転する。回転の途中では心室は上下関係となり、四腔断面で異常があり、房室交叉を指摘しやすい。回転が進行し、心室関係が左右となると房室弁は不鮮明であるものの、四腔断面の描出が可能となるため、房室交叉の診断を誤りやすいと考えられた。【結語】CCHの胎児診断は心ループの進行を意識して心房心室関係・房室弁の立体的な把握が必要である。