講演情報

[I-P02-3-08]Berry症候群(APW、IAA(type A)、AORPA)の低出生体重児症例

山下 優理, 森田 裕介, 五味 遥, 古井 貞浩, 岡 健介, 横溝 亜希子, 松原 大輔, 関 満, 佐藤 智幸, 田島 敏弘, 小坂 仁 (自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科)
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キーワード:

Berry症候群、大動脈肺動脈窓、大動脈弓離断

【はじめに】Berry症候群は、大動脈肺動脈窓(APW)、大動脈弓離断(IAA)、右肺動脈の大動脈起始(AORPA)、正常心室中隔を特徴とする極めて稀な先天性心疾患である。1982年にBerryらに初報され、現時点で約100例が報告されている。一期的な外科的修復が一般的であるが、術後に大動脈弓や右肺動脈の狭窄等の合併症が多く認められるため、適切な時期の外科的介入と術後の密なフォローが求められる。【症例】胎児期未診断例で、在胎37週5日、体重2260gで出生。低出生体重と呼吸の管理のため紹介医NICUに入院、心奇形が疑われ、精査加療目的に当院転院。 Berry症候群(APW、IAA type A、AORPA)、動脈管開存、卵円孔開存と診断され、lipo PGE1持続静注開始後、日齢5に両側肺動脈絞術を施行した。術後もlipo PGE1持続静注を継続して体重増加を生後3ヶ月、体重4.6kgで大動脈弓再建および右肺動脈形成術 (RPA起始部は自己心膜で修復)を施行。術後は軽度の腔水症を認めるのみで経過は良好であったが、酸素吸入を離脱することができなかった。造影CT検査による精査にて大動脈再建部狭窄および末梢性右肺動脈狭窄を認めたため、術後57日にPTAを施行した。大動脈狭窄部の圧差は40→25mmHgと改善したが、右肺動脈狭窄の圧格差は22mmHgから変化なかった。PTA後、酸素需要は消失し、自宅退院となった。 PTA半年後、および1年半後に心臓カテーテルによる評価及びPTAを繰り返し施行した。最終的な大動脈狭窄部の圧差は30mmHg、右肺動脈の圧差は42mmHgと残存しているものの、低酸素や左室壁肥厚、心不全症状の出現なく、良好な成長発育がみられている。染色体検査(Gバンド、マイクロアレイCGH)では異常は認められなかった。【まとめ】本症候群は、早期診断と適切な時期の外科的介入が重要である。また、術後の遺残病変がある場合は、綿密な評価と介入により良好な経過が期待できる。