講演情報

[I-P02-3-09]胎児診断されなかったBerry症候群の2症例

笠松 祐介1, 平田 陽一郎1, 羽田 瑠美1, 高梨 学1, 本田 崇1, 木村 純人1, 田村 佑平1, 峰尾 恵梨1, 近藤 良一2, 宮地 鑑2, 石倉 健司1 (1.北里大学医学部小児科学, 2.北里大学医学部心臓血管外科学)
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キーワード:

Berry症候群、胎児エコー、大動脈弓離断

【背景】Berry症候群は、大動脈弓離断(IAA)、大動脈肺動脈窓(APW)、右肺動脈大動脈起始を特徴とする極めて稀な先天性心疾患である。今回我々は、胎児エコーで診断されず、出生後に当院に紹介となった2症例を報告する。【症例】(症例1)在胎38週4日、出生体重2532gで正常分娩。出生後、上下肢のSpO2差(上肢100%、下肢90%前後)を認めたが、哺乳は良好であったため、生後8日に精査目的で当院に外来紹介された。(症例2)在胎40週3日、出生体重2970gで正常分娩。出生直後より上下肢のSpO2差(上肢98%、下肢80%)があったが初回の心エコーでは異常なしと判断された。生後4日に新生児高ビリルビン血症を指摘された際の精査で心雑音を聴取し、上下肢の血圧差も認めたため当院へ転院した。いずれの症例も心室中隔欠損症の合併はなく、プロスタグランジン製剤を用いて状態を安定化させた後、造影CTによって診断を確定した。新生児期に一期的心内修復術を行い、術後経過は良好で自宅退院となった。【考察】Berry症候群は極めてまれな心疾患で胎児エコーでの診断が難しく、出生後のSpO2差や心雑音が診断の契機となることが多い。2症例ともにいずれも出生後に診断されたが心不全症状は著明ではなく、早期の外科的介入により良好な経過をたどった。いずれの症例も経胸壁心エコーでは特に肺動脈起始異常を診断することが困難で造影CT所見で初めて指摘できた。大動脈弓離断症などの重症新生児においては治療がまず最優先ではあるが、APWや肺動脈起始異常などを念頭に慎重に診断を行うことが重要と考えられた。