講演情報

[I-P02-4-02]致死性不整脈を含む意識消失を来した上室頻拍の4症例

冨田 紗也佳1, 福永 英生1, 小野里 匠也2, 西山 樹1, 塩澤 知之2, 荻田 学2, 林 英守2, 関田 学2, 南野 徹2, 東海林 宏道1 (1.順天堂大学 小児科, 2.順天堂大学 循環器内科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

上室頻拍、致死性不整脈、失神

【背景】上室頻拍(SVT)は予後良好な疾患と言われるが意識消失を来す例は致死性不整脈のリスクがあり管理に注意を要する。今回意識消失を主訴に受診したSVTの4症例を比較検討する。【症例1】学校心臓検診異常ない14歳男子。中距離走中に失神し自動体外式除細動器(AED)が装着され、心室細動(VF)に対し除細動1回が行われ心拍再開した。入院中洞調律時の心電図で一過性にデルタ波を認め中隔副伝導路が疑われ電気生理学的検査(EPS)を行った。順伝導はFast pathway、逆伝導は中隔副伝導路を介したorthodromic AVRTと診断した。【症例2】小学4年生時の学校心臓検診で異常指摘され前医でWPW症候群(A型)と診断された17歳男子。無症状でありEPSは未施行。バスケットボール中に失神しAEDが装着され、VFに対し除細動2回が行われ心拍再開した。顕性WPW症候群を背景としたVFと考えEPSを行い、左側副伝導路を介したAVRTと診断した。【症例3】学校心臓検診異常ない16歳男子。13歳よりサッカー中に動悸、胸痛、前失神を自覚したびたび救急搬送されていたが、心臓超音波検査、ホルター心電図検査で異常なく経過観察となった。体育の授業中に2分間の失神あり当院紹介、長時間ホルター心電図検査で症状と一致した、一部VTへの移行を伴うSVTを認めた。EPSを行いfast-slow AVNRTと診断した。【症例4】学校心臓検診異常ない15歳女子。10歳時、体育の授業中に初回の失神あり、12歳時にも同様の発作を認め当科紹介となった。心電図検査で間欠性WPW症候群を認めEPSを行い三尖弁輪6時方向の副伝導路を介したAVRTと診断した。【考察】失神を伴う顕性WPW症候群の突然死リスクは既知だが、無症状の場合や間欠性WPW症候群に対するEPSの適応、AVNRTによる失神に対する介入に関しては議論の余地がある。SVTでも致死性不整脈を来すことがあり、繰り返す運動時の意識消失に対しては積極的な長時間ホルター心電図、EPSによる評価が重要である。