講演情報
[I-P02-4-03]ラモトリギン誤飲により心室頻拍を来した一乳児例
○伊澤 美貴, 山口 修平, 吉田 真由子, 妹尾 祥平, 山田 浩之, 小山 裕太郎, 永峯 宏樹, 大木 寛生, 前田 潤, 三浦 大, 山岸 敬幸 (東京都立小児総合医療センター 循環器科)
キーワード:
心室頻拍、ラモトリギン、中毒
【背景】抗てんかん薬は過量内服により不整脈を生じうることが知られている。今回、ラモトリギンの誤飲により心室頻拍を来した乳児症例を経験したため報告する。
【症例】生来健康な11ヶ月女児。X日、嘔吐・強直性痙攣で前医に救急搬送された。母の常用薬を数十錠程保管していた錠剤入れが概ね空の状態で発見され、保護者が約2時間昼寝をしていた間に2歳の同胞と一緒にラモトリギン100mg錠剤を複数誤飲したことが疑われた。胃洗浄で錠剤粉末様の物体、CTで高輝度の異物を胃内に認めた。痙攣に対して抗痙攣薬が経静脈投与されたが、再燃を繰り返した。当院搬送チーム到着時、心拍数160bpm、血圧52/25mmHg、12誘導心電図にてP波が不明瞭なwide QRS tachycardia(QRS幅160msec)を認め心室頻拍と診断した。重炭酸ナトリウム経静脈投与により、心拍数110bpmに低下、血圧91/21mmHgに上昇、QRS幅は正常化し、当院PICUに入院した。接合部調律による徐脈、低血圧が遷延した。病歴からラモトリギン中毒が強く疑われたため、重炭酸ナトリウム投与に加え、脂肪乳剤投与、血液透析を行った。X+1日には徐脈、低血圧は改善した。後日判明した入院時のラモトリギン血中濃度は104.6μg/mLと治療域2.5~15μg/mLを大きく超えており、ラモトリギン中毒による伝導障害と考えられた。X+2日には洞調律復帰し、ラモトリギン血中濃度も18.3μg/mLまで低下した。X+4日には抜管し、不整脈の再燃なく、X+7日に一般病棟へ転棟した。
【考察】ラモトリギンは2008年に承認された抗てんかん薬で、小児適応を有し、近年使用頻度が増加している。Na+チャネル阻害により神経膜を安定化させ、興奮性神経伝達物質の遊離抑制により抗痙攣作用を示す。成人の過量投与例では、QRS延長を呈し、重炭酸ナトリウム投与が効果的であると報告されている。不整脈を呈した小児過量投与の報告はないが、成人と同様に重炭酸ナトリウムが有効な治療であると考えられた。
【症例】生来健康な11ヶ月女児。X日、嘔吐・強直性痙攣で前医に救急搬送された。母の常用薬を数十錠程保管していた錠剤入れが概ね空の状態で発見され、保護者が約2時間昼寝をしていた間に2歳の同胞と一緒にラモトリギン100mg錠剤を複数誤飲したことが疑われた。胃洗浄で錠剤粉末様の物体、CTで高輝度の異物を胃内に認めた。痙攣に対して抗痙攣薬が経静脈投与されたが、再燃を繰り返した。当院搬送チーム到着時、心拍数160bpm、血圧52/25mmHg、12誘導心電図にてP波が不明瞭なwide QRS tachycardia(QRS幅160msec)を認め心室頻拍と診断した。重炭酸ナトリウム経静脈投与により、心拍数110bpmに低下、血圧91/21mmHgに上昇、QRS幅は正常化し、当院PICUに入院した。接合部調律による徐脈、低血圧が遷延した。病歴からラモトリギン中毒が強く疑われたため、重炭酸ナトリウム投与に加え、脂肪乳剤投与、血液透析を行った。X+1日には徐脈、低血圧は改善した。後日判明した入院時のラモトリギン血中濃度は104.6μg/mLと治療域2.5~15μg/mLを大きく超えており、ラモトリギン中毒による伝導障害と考えられた。X+2日には洞調律復帰し、ラモトリギン血中濃度も18.3μg/mLまで低下した。X+4日には抜管し、不整脈の再燃なく、X+7日に一般病棟へ転棟した。
【考察】ラモトリギンは2008年に承認された抗てんかん薬で、小児適応を有し、近年使用頻度が増加している。Na+チャネル阻害により神経膜を安定化させ、興奮性神経伝達物質の遊離抑制により抗痙攣作用を示す。成人の過量投与例では、QRS延長を呈し、重炭酸ナトリウム投与が効果的であると報告されている。不整脈を呈した小児過量投与の報告はないが、成人と同様に重炭酸ナトリウムが有効な治療であると考えられた。