講演情報
[I-P02-4-04]小児循環器疾患でβ遮断薬を使用した症例の検討
○塩野 淳子1, 出口 拓磨1, 林 立申1,2, 堀米 仁志1 (1.茨城県立こども病院 小児循環器科, 2.筑波大学 医学医療系 小児科)
キーワード:
β遮断薬、不整脈、心不全
【はじめに】β遮断薬は種々の目的で使用され、循環器領域で重要な薬剤である。近年は小児でも使用できるβ遮断薬の種類が増え、その特徴にあった選択が求められる。当院におけるβ遮断薬の使用状況を検証した。【対象】2020年1月から2024年12月の5年間で、当科で内服のβ遮断薬の処方歴がある症例。処方開始時期や使用目的が不明な症例は除外した。【結果】対象は166例(男87例)。染色体異常11例、先天性心疾患合併82例。開始時年齢は0~21歳(中央値0歳)、使用期間は1か月未満~18年(中央値2年)。初回に選択された薬剤はプロプラノロール49例、カルベジロール44例、アテノロール29例、ビソプロロール18例、ナドロール16例、カルテオロール8例、メトプロロール2例。主な使用目的は不整脈99例、心不全38例、低酸素発作19例、肥大型心筋症5例、高血圧5例であった。初回に使用された薬剤を使用目的別に見ると、不整脈ではプロプラノロール(39例)、アテノロール(29例)、ナドロール(16例)、心不全ではカルベジロール(29例)、ビソプロロール(8例)の順で多かった。26例(15.7%)でのべ30回薬剤が変更され、2回の変更が4例であった。有害事象による変更は、気管支喘息(もしくは喘鳴)9例(いずれもカルベジロールによる)、不耐容2例(ビソプロロール、ナドロール)、薬疹1例(ビソプロロール)であり、カルベジロールからビソプロロールへの変更が多かった。経過中の薬剤中止例は45例で、不整脈(28例)、低酸素発作(15例)が多く、心不全での中止は1例のみであった。【結語】β遮断薬は幅広い年齢で使用され、使用される薬剤の種類も多かった。不整脈症例では中止できる例がある一方で、心不全症例では長期に内服していた。気管支喘息は内服開始時には不明のことも多く、症状出現時にはβ1選択性の高い薬剤への変更が必要である。