講演情報

[I-P02-4-05]出生直後より循環管理を要した心臓横紋筋肉腫3例の検討

加護 祐久1, 木村 寛太郎1, 高橋 誉弘1, 佐藤 浩之1, 原田 真菜1, 田中 登2, 松井 こと子1, 福永 英生1, 東海林 宏道1 (1.順天堂大学 医学部 小児科, 2.鳥取県立中央病院 小児科)
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キーワード:

心臓横紋筋腫、新生児、循環不全

【背景】心臓横紋筋肉腫は出生直後に循環不全を引き起こすことがあり、腫瘍の位置や大きさが予後に影響を与える。出生直後に循環不全を呈した心臓横紋筋肉腫3例の経験を報告する。【症例1】在胎37週5日、体重2866g、Apgar score 8/9、経腟分娩で出生。右室心尖部に25mm大の腫瘍を認め、肺血流維持のためPGE1製剤を使用した。日齢10に心房頻拍を認めβ遮断薬を開始した。自然経過で腫瘍は縮小し日齢20にPGE1製剤を終了したが10mm大の腫瘍が残存している。【症例2】在胎38週3日、体重2844g、Apgar score 9/9、計画分娩で出生した。両心室に多発し、特に左室心尖部に30mm大の腫瘍を認めた。体血流維持のためPGE1製剤を使用した。日齢1よりeverolimusを開始したところ腫瘍は縮小し、日齢6にPGE1製剤の終了が可能であった。生後2か月でeverolimusは中止し、腫瘍は消退した。【症例3】在胎38週4日、体重2900g、Apgar score 9/9、計画分娩で出生した。左心耳と僧帽弁前尖近傍に16mm大の腫瘍を認め、心室壁にも多発腫瘍を認めた。腫瘍による左室流入血の制限と僧帽弁閉鎖不全(MR)による低心拍出に陥り集中治療管理を要した。日齢0よりeverolimusを開始し腫瘍は縮小したが、MRの増悪を認めた。日齢13に心房頻拍を認めflecainideを開始した。腫瘍は5mmまで縮小しMRは改善した。【考察】心室や流出路に位置する腫瘍や30mm以上の腫瘍は予後不良とされているが、心房側腫瘍の症例や30mmに満たない症例でも血行動態への影響によっては循環管理を要する事がある。2例で早期のeverolimus投与により腫瘍が縮小し、循環不全が改善したことから早期介入が予後改善に寄与したと考えられる。腫瘍の位置や大きさだけでなく、血行動態への影響の検討が必要である。