講演情報

[I-P02-4-08]当院におけるLambl疣贅の検討

内田 英利1, 齋藤 和由1, 浅井 ゆみこ3, 小島 有紗1, 畑 忠善2, 吉川 哲史1 (1.藤田医科大学 医学部 小児科学, 2.藤田医科大学ばんたね病院 臨床検査部, 3.国立成育医療研究センター 循環器科)
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キーワード:

Lambl疣贅、大動脈弁閉鎖不全症、脳梗塞

【背景】Lambl疣贅(LE)は弁尖の接合部付近に生じるおよそ1mm幅の糸状の構造物で、機械的な心内膜損傷部にフィブリンが沈着し、周囲に内皮細胞が増殖することによって形成される。成人領域での報告が多く健常者でも5.5%に認められるとされ、大動脈弁閉鎖不全症(AR)によく合併し、これに関連した塞栓症の報告がある。小児領域では頻度は約2%とされ、世界的に見ても報告例は限られており、本邦での報告は2024年に当学会で報告した症例のみである。【目的】当院において過去5年間のLEついての現状、合併症について検討する。【方法】2020年1月1日から2024年12月31日のまでの5年間に当院小児科で診療を行なった症例のうち、病名に「大動脈弁閉鎖不全症」、「大動脈弁逆流症」がある患者を抽出し診療録から後方視的に検討した。検討項目は年齢、性別、Lambl疣贅の有無、基礎疾患の有無、合併症の有無、予後、通院状況とした。【結果】成人移行症例を除く49例において、年齢は0歳から17歳で男女比は28:21だった。その中でLEを認めた症例は2例(4.1%)だった。2例とも塞栓症は起こしていなかった。基礎疾患として心室中隔欠損症が最も多かった。全例が外来通院を継続していた。【症例】症例1(既報告例)、発症時9歳の男児、感染性心内膜炎の鑑別のため行った心臓超音波検査で指摘された。現在、無症状であり無投薬で経過観察している。症例2、13歳女子、Marfan症候群の家族歴があり精査のため紹介され、行った心臓超音波検査で大動脈閉鎖不全症とLEを認めた。無症状で外来経過観察中である。【考察】今回の検討では、2例ともに塞栓症の合併はなく内服治療は行なっていないが引き続きclosedな観察が必要である。本邦での頻度は不明だが、まだ認識されていない症例が存在すると考える。【結論】当院では2名のLEの症例を認め、いずれも合併症なく経過している。今後もARの患者においてLEに留意し診療を行っていく必要がある。