講演情報
[I-P02-4-09]modified Blalock-Taussig shuntの感染性閉塞の一例
○妹尾 祥平, 伊澤 美貴, 山口 修平, 吉田 真由子, 山田 浩之, 小山 裕太郎, 永峯 宏樹, 大木 寛生, 前田 潤, 三浦 大, 山岸 敬幸 (東京都立小児総合医療センター 循環器科)
キーワード:
modified Blalock-Taussig shunt、感染性閉塞、感染性心内膜炎
【背景】modified Blalock-Taussig shunt(mBTS)感染性閉塞は、低酸素血症を伴うが、発熱・炎症反応の上昇が乏しく、術中所見で初めて感染が判明する場合があり、治療法は確立していない。【症例】心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症の1歳女児。生後2か月で右BTS(右腕頭動脈-主肺動脈3.5mm ePTFE graft)を実施した。アスピリンを内服し、術後SpO2 80%で推移し、生後5か月時にSpO2 50%台まで低酸素血症が進行し、心臓カテーテル検査でAPSの狭窄が判明、バルーン拡張術を実施したが、狭窄が残存し、3日後に左mBTS(4.0mm ePTFE graft)追加を要した。術後SpO2 80%台に改善し、アスピリン、ワルファリン内服を続行。生後10か月時に鼻汁、咳嗽を契機に低酸素血症(SpO2 60%台)が再燃し、造影CT検査で左mBTS内に血栓狭窄を認めた。血液検査ではCRP 1.26, WBC 14110(好中球42%)と炎症反応は軽度であった。翌日緊急でRastelli手術を行った際に、離断した左mBTS内に膿貯留を認めた。摘出した両側のmBTSの病理組織検査で、球菌塊と好中球浸潤を伴う血栓を認め、感染性閉塞と判明し、感染性心内膜炎に準じてセファゾリンの6週間投与を行なった。抗菌薬終了後、感染の再燃はない。【考察】抗血栓療法にもかかわらずシャントの閉塞を繰り返した場合は発熱、炎症反応が軽度であっても感染性閉塞の可能性があり、抗菌薬に加え、人工血管摘除術を検討する必要がある。