講演情報

[I-P02-4-10]2歳未満で外科的修復を要した右室内異常筋束(右室二腔症)の3症例

西畠 信1, 櫨木 大祐2, 松葉 智之3, 中嶌 八隅4, 八島 正文5, 八浪 浩一6, 深江 宏冶7 (1.鹿児島生協病院 小児科, 2.鹿児島市立病院 小児科, 3.鹿児島市立病院 心臓血管外科, 4.聖隷浜松病院 小児循環器科, 5.聖隷浜松病院 心臓血管外科, 6.熊本市民病院 小児循環器科, 7.熊本市民病院 小児心臓外科)
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キーワード:

右室内異常筋束、心室内圧較差、循環動態

【目的】早期に外科的介入を要した右室内異常筋束症例の形態形成と循環動態変化を考える。
【背景】右室二腔症(DCRV)はCHDの1.5~2%と比較的稀で80~90%に心室中隔欠損(VSD)を合併する。経過中にRV流入路と流出路の間に異常筋束(abnormal muscle bundle:AMB)が発達し高圧腔と低圧腔に分かれ圧較差20mmHg以上でDCRVとされる。狭窄は進行性で多くは幼児期以降に外科的修復が必要となるが、直近15年間で乳児期に外科的修復の適応となった3症例を経験した。
【症例1】男児、心雑音で紹介され、多呼吸があり心臓超音波検査で径4.3mmの傍膜様部VSDと診断し、利尿薬を開始した。呼吸数は徐々に減少し利尿薬は漸減終了したが、9か月でSpO2 90%、超音波検査の心室短軸断面でIVS扁平化、心窩部からの右心系冠状断でAMBを認め、DCRVと診断しpropranolol内服を開始した。11か月での心カテ検査でRV内圧較差 87mmHgでVSDは右左短絡となり、1歳過ぎに心内修復術を受けた。【症例2】男児、里帰り出産。心雑音で日齢12に受診。心臓超音波検査で傍膜様部VSD(6mm径)、右室内AMB(圧較差なし)、肺動脈弁狭窄(PG39mmHg)を認め、高肺血流の心不全と診断し利尿薬を開始したが、4か月頃から体重増加が停止し、心カテ検査でQp/Qs 3.0の高肺血流に伴う心不全と判断され心内修復術となった。【症例3】男児、新生児期の心雑音で紹介され傍膜様部VSD(6.7mm径)の診断で利尿薬を開始した。3か月の超音波検査でAMBと血流加速を認め、基幹施設での心カテ検査でQp/Qs 2.5、RV内圧較差20mmHgとなりQp/Qs 5か月で心内修復術を受けた。
【結語】2歳未満で外科的介入を要した右室内異常筋束3症例のうち、症例1は右室内狭窄が急激に進行し、縮小したVSDで逆短絡によるSpO2低下が要因で、症例2,3では高肺血流による心不全が要因であった。本疾患ではAMBの発達、VSDの短絡状態も併せた循環動態の変化の判断が重要である。