講演情報

[I-P02-5-04]乳児期よりCRTを長期継続している拡張型心筋症3例

長谷川 美保1, 桑原 直樹1, 田中 秀門1, 寺澤 厚志1, 山本 哲也1, 高橋 一浩1, 桑原 尚志1,2, 小倉 健2, 中村 真2, 渕上 泰2, 岩田 祐輔2 (1.地方独立行政法人 岐阜県総合医療センター 小児循環器内科, 2.地方独立行政法人 岐阜県総合医療センター 小児心臓外科)
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キーワード:

拡張型心筋症、心臓再同期療法、心臓絞扼

【序文】心臓再同期療法(CRT)は、薬物療法に反応しない重症心不全で同期不全を示す症例に対する治療法である。小児例でもその有効性が報告されているが、長期継続した症例報告はない。今回我々は、乳児期にCRTを開始して成人体格まで継続している拡張型心筋症の3例を経験したため、その臨床経過および現状について報告する。
【症例1】16歳男性。生後11ヶ月で、心筋炎後拡張型心筋症(DCM)に対してCRTを開始した。開始後徐々に同期不全は改善し、QRS時間 183→133msec、BNP 2890→5.8pg/mLとなった。14歳時に行った心臓カテーテル検査でLV leadによる左冠動脈の圧排所見を認め、開胸で冠動脈の圧迫解除およびgenerator交換を行った。現在も心不全治療を継続し、NYHA2度で高校に通学している。
【症例2】 16歳女性。1歳10ヶ月で、DCMに対してCRTを開始した。開始後徐々に同期不全は改善し、QRS時間 174→128msec、BNP 536→10.5pg/mLとなった。15歳で心臓カテーテル検査を行い、leadによる冠動脈圧排がないことを確認した。現在も心不全治療を継続し、NYHA2度で高校に通学している。
【症例3】14歳女性。生後11ヶ月、DCMに対してCRTを開始した。開始後、QRS時間は著変ないが徐々に同期不全は改善し、BNP 1499→5.8pg/mLとなった。現在も心不全治療を継続し、NYHA1度で中学校に通学している。
【考察】薬物療法に反応しない、同期不全を示すDCMに対するCRTは長期的にも有効と考えられる。しかしその管理には、成長に伴うleadによる心臓絞扼や冠動脈圧排に常に注意していく必要がある。