講演情報

[I-P03-1-03]2種類の異なる心室頻拍を繰り返し長期のECMO管理を要したQT延長症候群 Type 2 の女児例

中静 裕一郎1, 金光 陽子2, 佐藤 如雄2, 中島 育太郎2, 麻生 健太郎1 (1.聖マリアンナ医科大学 小児科, 2.聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
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キーワード:

QT延長症候群、ECMO-CPR、心室細動

【症例】15歳の高校1年生女児。5歳時にけいれん重責で入院した際の心電図モニタで心室細動が確認され、その後の遺伝子検査を含めた精査によりQT延長症候群(LQTS)type IIの診断が確定。以降β遮断薬およびメキシレチン塩酸塩を服用し、外来で経過観察されていた。診断確定から危急的な不整脈発生を想起させるエピソードなく経過していた。15歳のときに意識消失発作が1日に2回あり入院した。入院後のモニター心電図NSVT(約3秒間)を確認。その後、TdPを繰り返し、ECMO‐CPRおよびIABPを開始した。V-A ECMO導入後もVTやVfが間欠的に発生した。確認されたVTにはLQTSに特異的な多形性心室頻拍と、それとは異なる単形性心室頻拍が認められた。ECMO導入初期には顕著な心収縮能の低下が見られ、心筋炎や心筋症の合併が疑われたが、経過中に心機能は回復した。ECMOは入院8日目に離脱し、IABPも9日目に終了。入院23日目にICD移植術を施行。その後、ナドロールとメキシレチンの服用で管理している。【考案】【考察】LQTSによるTdPにより心筋のstunningが生じ、心機能低下およびTdPとは別の単形性VTが発現したと考えられる。回復には時間を要し、長期にわたるECMO管理が必要であった。LQTSにおけるVT発症時には、早期に人的リソースが十分に整った施設への転送を検討すべきである。