講演情報

[I-P03-1-06]左房起源の異所性心房頻拍(EAT)により出生時頻拍誘発性心筋症(TIC)を呈したが不整脈治療で心機能が著明に改善した新生児例

三井 さやか, 福見 大地 (日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 小児循環器科)
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キーワード:

異所性心房頻拍、頻拍誘発性心筋症、新生児

【症例】生後0日女児。在胎38週5日胎児不整脈を指摘され当院紹介受診。初診時base140bpm、3連発までの期外収縮を認めCTAR=21.8%と心拡大もなかった。39週0日10拍中1拍程度の期外収縮を認めた。40週0日検診時base200bpm以上であり緊急帝王切開、3812gで出生。生後220-240bpmの頻拍が続きATPでAV blockとなるもすぐに頻拍が再発しDCでも停止しなかった。食道心電図で同一波形の陰性P波を認め左房起源のEATと診断した。心エコーでEF=50%、中等度MR,TR、CTR=0.551と心拡大も認めた。ランジオロール開始、10γまで増量し、翌日HR160-170台となったが啼泣時200台、EF=37-47%、心嚢水、胸水も出現した。同日フレカイニド静注し頻拍は減少、EF=62%まで回復しフレカイニドは内服で継続した。以降頻拍は減少し日齢0のホルターではSVPC 215917 86.4%(THB249815)だったが日齢3にはSVPC 35727 19.18%(THB186275)と著減。ランジオロール漸減、日齢10プロプラノロール内服へ切り替えフレカイニドと併用した。日齢5 BNP 209.2pg/ml、日齢11 BNP 146、日齢13にランジオロール終了。日齢10のホルターではTHB=185959だがSVPC 206(0.1%)単発のみまでEATをコントロールでき、日齢18 BNP 51まで低下、心収縮良好でCTR=0.493と心拡大も改善し退院。退院後2剤内服継続しているが、頻拍の再燃なく現在漸減中である。【考察】年少児のEATは胎児頻脈例も散見されるが初診時よりTICを呈するのは少ない。本児は出生前1週間で急速にTICに至りβ遮断薬でrate controlしても心収縮は不良であったがフレカイニドで洞調律化がえられ速やかに心機能も改善した。TIC発症例は心耳、僧帽弁輪起源に多いが本児のEATも左房起源であった。新生児は心筋のリモデリングが優れているが本児も洞調律化により急速に心機能の回復がえられた。