講演情報
[I-P03-2-02]急性期に冠動脈病変を認めた川崎病症例のクラスター解析-異なる臨床的特徴を有するサブグループの同定-
○須長 祐人, 長谷部 洋平, 菊地 夏望, 吉沢 雅史, 河野 洋介, 勝又 庸行, 犬飼 岳史 (山梨大学 医学部 小児科)
キーワード:
川崎病、クラスター解析、冠動脈病変
【背景】川崎病における冠動脈異常(CAA)は重篤な合併症の一つであり、CAAを発症する症例の臨床的特徴を明らかにすることは重要である。近年、川崎病研究においてもデータ駆動型研究としてのクラスター解析の有用性が報告されている。
【方法】2016年から2022年の間に山梨大学および関連病院にて診断され、統一のプロトコル(初期強化療法なし)で治療された川崎病症例726例のうち、発症後30日以内に冠動脈病変(冠動脈のZスコア最大値≧2.5)を認めた103例を対象とした。診断時の20変数を基に主成分分析を行った後、教師なし学習である階層的クラスター解析を行った。
【結果】急性期にCAAを認めた103例中101例が4つのサブグループにクラスタリングされた。4つのサブグループのうち、Cluster 1-3は治療開始前(川崎病診断時)から冠動脈拡張を認める割合が高かった。Cluster 1とCluster 2は乳児が多く、Cluster 3は年齢が比較的高い群であった。またCluster 1は白血球数と血清トリグリセリド値の上昇を、Cluster 2は貧血と血清総コレステロール値の低下を特徴としていた。一方でCluster 4は、肝逸脱酵素値、総ビリルビン値の上昇と血清ナトリウム値の低下を特徴とする年齢が高い群であり、治療前から冠動脈拡張を認める割合は最も低かったが、治療抵抗性が高かった。
【考察】Cluster 1-3のような治療開始前から冠動脈拡大を認める症例に対する治療戦略は定まっていないが、今後、サブグループを考慮した治療戦略を立てることで予後をより改善できる可能性がある。Cluster 4は治療抵抗性が高く、徐々に冠動脈が拡大してくる群であり、このような症例にはIVIG不応予測スコアによる層別化、初期強化療法が有用であると考えられた。
【結語】今回、急性期にCAAを認めた川崎病症例において異なる臨床的特徴を持つ4つのサブグループが同定された。サブグループを考慮することで病態生理に関連する因子の発見や治療選択の一助となりうる。
【方法】2016年から2022年の間に山梨大学および関連病院にて診断され、統一のプロトコル(初期強化療法なし)で治療された川崎病症例726例のうち、発症後30日以内に冠動脈病変(冠動脈のZスコア最大値≧2.5)を認めた103例を対象とした。診断時の20変数を基に主成分分析を行った後、教師なし学習である階層的クラスター解析を行った。
【結果】急性期にCAAを認めた103例中101例が4つのサブグループにクラスタリングされた。4つのサブグループのうち、Cluster 1-3は治療開始前(川崎病診断時)から冠動脈拡張を認める割合が高かった。Cluster 1とCluster 2は乳児が多く、Cluster 3は年齢が比較的高い群であった。またCluster 1は白血球数と血清トリグリセリド値の上昇を、Cluster 2は貧血と血清総コレステロール値の低下を特徴としていた。一方でCluster 4は、肝逸脱酵素値、総ビリルビン値の上昇と血清ナトリウム値の低下を特徴とする年齢が高い群であり、治療前から冠動脈拡張を認める割合は最も低かったが、治療抵抗性が高かった。
【考察】Cluster 1-3のような治療開始前から冠動脈拡大を認める症例に対する治療戦略は定まっていないが、今後、サブグループを考慮した治療戦略を立てることで予後をより改善できる可能性がある。Cluster 4は治療抵抗性が高く、徐々に冠動脈が拡大してくる群であり、このような症例にはIVIG不応予測スコアによる層別化、初期強化療法が有用であると考えられた。
【結語】今回、急性期にCAAを認めた川崎病症例において異なる臨床的特徴を持つ4つのサブグループが同定された。サブグループを考慮することで病態生理に関連する因子の発見や治療選択の一助となりうる。