講演情報
[I-P03-2-07]川崎病に対するPSL初期併用療法と従来治療の治療効果以外の面での比較
○上野 薫1, 渡辺 健2, 鶴見 文俊1 (1.公益財団法法人田附興風会医学研究所北野病院, 2.たかばたけウィメンズクリニック)
キーワード:
川崎病、プレドニゾロン、RAISE study
【背景】川崎病急性期治療のガイドラインでは、IVIG不応予測例にPSLあるいはCsAの併用が推奨されている。当院は従来、1st lineはIVIG2g/kg単回投与+ASA、2nd lineはIVIG2g/kg追加+IVMP+UTIという方針で治療を行ってきたが、2024年4月からKobayashiスコアによるIVIG不応予測例に対して1st lineにPSLを併用している。【目的】RAISE studyに準じたPSL初期併用療法と従来治療について、治療効果及びそれ以外にどのような違いがあるか検討する。【方法】2023年4月から2025年2月までの期間に、川崎病あるいは不全型川崎病と診断された、Kobayashiスコア5点以上であった症例で、RAISE studyに準じて治療が行われた症例(R群)と、従来の1st line不応で2nd lineとなった症例(C群)を抽出した。両群で、Kobayashiスコア、CRP及びD-dimerのピーク値、CRP及びD-dimerの陰性化までの期間、冠動脈Z-scoreピーク値、ステロイド投与期間及び総投与量とその副作用、入院日数、冠動脈瘤発症有無、追加治療有無などについて検討した。【結果】R群は7名で、うち2名が不応、C群は9名で、うち1名は3rd lineを要した。R群で有意に早くCRPが陰性化した。ステロイド投与期間はR群で有意に長かったが総投与量(PSL換算)は少なく、副作用については高血圧が両群に見られたが高血糖はR群には見られなかった。入院期間はR群で長くなる傾向が見られた。C群で冠動脈瘤小瘤合併が1例あった。【考察】急性期治療の目標は、炎症をより早期に抑えることであり、初期からステロイドを併用した方が早くCRP陰性化を得られることはメリットと考えられる。今回の検討ではC群例中1例で冠動脈瘤小瘤の合併が見られたが退縮した。RAISE studyプロトコールに準じるとCRP 0.5以下となってから15日間のPSL投与となるため、入院期間が長くなる傾向にあった。昨今の経済社会構造の変化を反映し入院期間短縮を求められる場面が増えており、今後の検討点と考えられた。