講演情報
[I-P03-2-09]乳児難治性川崎病の治療戦略~血漿交換かインフリキシマブか~
○土井 大人1,2, 熊本 崇1 (1.佐賀大学 医学部 附属病院 小児科, 2.国立病院機構 嬉野医療センター 小児科)
キーワード:
乳児川崎病、インフリキシマブ、血漿交換
【緒言】IVIG不応予測スコアに基づく初期強化療法が提唱されるなか、初回IVIG治療不応例は増加の一途である。IVIG不応例に対してIFXは選択肢の一つであるが、ワクチン接種の観点から、乳児例には投与をためらうことも多い。【症例1】6か月男児。発熱2病日に近医入院し、3病日に川崎病と診断された。ステロイド併用でIVIG治療されるも、発熱が持続し、第5病日にIVIG追加、第6病日にCsA開始、第7病日に当院転院となった。転院当日より血漿交換を3日間施行したが無効で、第9病日にIVIG追加、第11病日にIFX投与で解熱した。Seg1にZ-score 5.18、Seg5にZ-score 4.41と冠動脈病変を残した。【症例2】3か月女児。発熱3病日に近医入院し、4病日に川崎病と診断された。ステロイド併用でIVIG治療されるも、発熱が持続し、第6病日にIVIG追加、第7病日にCsA開始、第8病日に当院転院となった。転院当日より血漿交換を3日間施行したが無効で、第11病日にIVIG追加、第12病日にIFX投与で解熱した。冠動脈病変は認めなかった。【症例3】4か月男児。発熱2病日に近医入院し、3病日に川崎病と診断された。IVIGで第4病日に解熱し、冠動脈病変なく第12病日に退院した。しかし、第15病日に再燃、IVIG追加も発熱が持続し、第17病日にCsA開始、第18病日に当院転院となった。症例1、2の経過より、転院当日にIFX投与し、速やかに解熱した。冠動脈病変は認めなかった。【考察】いずれの症例もロタウイルスワクチン接種後、BCGは未接種であったが、過去の報告と同様にワクチン関連合併症はなかった。Anzaiらは、血漿交換群とIFX群で冠動脈病変に有意差はないが、血漿交換群で有害事象が多かったと報告している。IFXを先行することで血漿交換回数を減らすことができた(Shimadaら)、IFX投与群は冠動脈病変が早期に退縮した(Nagatomoら)との報告もあり、乳児においてもIFXは重要な治療選択肢となる。