講演情報

[I-P03-3-02]小児心臓血管外科不在施設での先天性心疾患手術非介入18トリソミー症例における臨床的検討

美野 陽一, 上桝 仁志, 清水 敬太 (鳥取大学 医学部 周産期・小児医学分野)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

18トリソミー、先天性心疾患手術非介入、家族面会

【背景】近年、先天性心疾患(CHD)合併の18トリソミー(18T)に対するCHD手術介入の報告は増加しており、生存率や在宅移行率改善の傾向が散見される。当院は小児心臓血管外科が不在で、近隣外科施設との連携により手術適応や方針を決定しているが現状としてはCHD手術介入に至ってはいない。CHD手術非介入の18T症例については多種職領域のカンファレンスを重ね、在宅移行に拘らず、「家族と無理なく共に過ごす時間」の確保を目標とした新生児管理を行っている。【方法】2020年1月から2024年12月の5年間に当院で入院管理したCHD手術非介入18Tについて、出生状況や治療経過、家族面会の対応について診療録に基づき後方視的に検討した。【結果】対象は5例で、全例で出生前に心室中隔欠損症(VSD)が指摘され、4例が羊水染色体検査による18T出生前診断がなされていた。34週出生の1例を除き、4例が正期産であったが出生体重は2kg未満であった。VSD径は中央値10mmであった。全例で転院によるCHD手術は希望されず、院内で完結できるCHD以外の合併症の治療は希望された。人工呼吸器管理から離脱できた症例は無かった。新生児期死亡1例は生後早期の感染症により内科管理のみとなった。他4例は気管切開を含めたCHD以外の外科的介入が積極的に施行され、6ヶ月以上に渡り家族と過ごす時間が得られたが、在宅移行に至ることはなかった。【考察】小児心臓血管外科不在施設における18Tの心臓手術非介入の選択は、呼吸管理を担保することにより家族との貴重な時間を延長することが可能であったが、多くの症例で在宅移行には至らなかった。これらはCHD以外の合併症が大きく妨げとなっており、在宅管理の困難さなどから、入院管理下での家族との時間の質を高める方針決定に影響していた。新型コロナウイルス感染流行期における面会制限下では、「家族との時間」提供について医療者間でも意見が分かれるケースもあり大きな課題となった。