講演情報
[I-P03-3-04]18トリソミーに対する心臓外科手術成績:長期生存率と術後合併症の検討
○林谷 俊和, 田中 敏克, 中井 亮佑, 久保 慎吾, 三木 康暢, 亀井 直哉, 小川 禎治, 城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器内科)
キーワード:
18トリソミー、心臓外科手術、長期予後
【背景】近年18トリソミーへの心臓外科手術は広がりつつあり、生存退院や一年生存率を向上すると言われている。しかし、長期予後への影響は定かではない。今回、18トリソミーに対する心臓外科手術の有益性を検討することを目的に長期生存率と術後合併症について調査する。
【方法】2008年1月~2023年12月に当院で出生した18トリソミーを対象に診療録から後方視的に観察した。観察期間は2024年12月31日までとした。他院での出生例、新生児蘇生不応例、心疾患を有さない症例は除外し出生情報、心疾患診断、手術介入の有無、術式、術後合併症、生存期間などを調査した。手術介入の有無で2群比較を行った。
【結果】対象は62例(男児20例)。手術介入群42例、非介入例20例であった。手術介入はPDA closure 31件、mPAB31件、bil.PAB4件、PV valvotomy1件、palliative RV-PA conduit1件、血管輪解除1件、VSD閉鎖術1件。介入群の在胎週数は36週(中央値, IQR:30-37)、出生体重1424g(1186-1715)、非介入群は34週(29-36)、1240g(754-1543)。退院日齢は介入群245日(122-333)、非介入群229日(185-352)。生存期間中央値は介入群4.2年、非介入群1.1年であり、1年、5年、10年生存率は75%、44%、44%(介入群)と50%、31%、20%(非介入群)であった。術後合併症は心停止2件、致死的不整脈3件、ECMO1件、再手術2件があった。
【考察】有意差はなかったが、Kaplan-Meier生存曲線は介入群で遠隔期予後が良好な傾向であった。その一方で術後合併症リスクは高く、手術適応には慎重な判断が必要であると考えられた。非介入群では低出生体重により介入できず、肺高血圧や心不全が進行した症例も少なくなかった。
【結語】18トリソミーへの心臓外科手術は遠隔期を含め予後を改善する可能性はあるがリスクを十分考慮した上で適応を判断する必要がある。
【方法】2008年1月~2023年12月に当院で出生した18トリソミーを対象に診療録から後方視的に観察した。観察期間は2024年12月31日までとした。他院での出生例、新生児蘇生不応例、心疾患を有さない症例は除外し出生情報、心疾患診断、手術介入の有無、術式、術後合併症、生存期間などを調査した。手術介入の有無で2群比較を行った。
【結果】対象は62例(男児20例)。手術介入群42例、非介入例20例であった。手術介入はPDA closure 31件、mPAB31件、bil.PAB4件、PV valvotomy1件、palliative RV-PA conduit1件、血管輪解除1件、VSD閉鎖術1件。介入群の在胎週数は36週(中央値, IQR:30-37)、出生体重1424g(1186-1715)、非介入群は34週(29-36)、1240g(754-1543)。退院日齢は介入群245日(122-333)、非介入群229日(185-352)。生存期間中央値は介入群4.2年、非介入群1.1年であり、1年、5年、10年生存率は75%、44%、44%(介入群)と50%、31%、20%(非介入群)であった。術後合併症は心停止2件、致死的不整脈3件、ECMO1件、再手術2件があった。
【考察】有意差はなかったが、Kaplan-Meier生存曲線は介入群で遠隔期予後が良好な傾向であった。その一方で術後合併症リスクは高く、手術適応には慎重な判断が必要であると考えられた。非介入群では低出生体重により介入できず、肺高血圧や心不全が進行した症例も少なくなかった。
【結語】18トリソミーへの心臓外科手術は遠隔期を含め予後を改善する可能性はあるがリスクを十分考慮した上で適応を判断する必要がある。