講演情報

[I-P03-3-05]心室中隔欠損を伴う18トリソミーにおける心内修復術前後の血行動態と臨床経過

宍戸 亜由美1, 藤岡 泰生1, 土田 裕子1, 杉山 隆朗1, 天方 秀輔2, 竹田 知洋2, 中尾 厚2, 安川 峻3, 小林 城太郎3, 稲毛 章郎1, 大石 芳久1 (1.日本赤十字社医療センター 小児科, 2.日本赤十字社医療センター 新生児科, 3.日本赤十字社医療センター 心臓血管外科)
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キーワード:

18トリソミー、心内修復術、肺高血圧

【背景】高肺血流性心疾患を伴う18トリソミー(T18)は, 生後早期に肺高血圧(PH)を合併し予後不良とされてきた.近年, 姑息手術, 心内修復術(ICR)を含めた心臓手術によりT18の生命予後を改善するという報告が増えているが, ICRによる血行動態への影響は明らかでない.【目的】心室中隔欠損(VSD)に対しICRを施行されたT18の背景とPHを含む血行動態・臨床経過の検討.【方法】2015年1月-2025年1月に当センターでICRを施行したVSDを伴うT18 35例中, ICR前後に心臓カテーテル検査を実施した27例の診療録を後方視的に検討し, 術前にPHを認めたPH群とPHの無いnPH群に分け統計学的解析を行った. PHは少なくとも左右どちらかの肺動脈平均圧(mPAP)>20mmHgと定義した.【結果】主疾患の内訳は, VSD 23例, 大動脈縮窄複合 2例, 両大血管右室起始 2例でPH群14例とnPH群13例であった. 男女比(男/女=1/13 vs. 2/11; P=0.60), 在胎週数(中央値37(34-37) vs. 37(33-38); P=1), 出生体重(1,817(1,592-2,120) vs. 1,835(1,744-2,133)g; P=0.72), 肺動脈絞扼術(PAB)施行日齢(33.5(26.3-66) vs. 26.0(17-28); P=0.08), ICR時月齢(18.6(11.6-22.1) vs. 18.4(16.1-27.7); P=0.50), ICR時体重(6,040(5,537-6,997) vs. 5,895(5,025-6,885)g; P=0.94)に有意差はなかった. ICR後の挿管期間はPH群で有意に長かったが(7(4-8.5)日 vs. 3(2-5)日; P=0.03), NO使用期間, ICU滞在期間, 入院日数は有意差を認めなかった. 内服肺血管拡張薬はICR後10例に導入された. ICR後の心臓カテーテル検査は, 術後416(388-519)日に施行され, PH群のmPAP, RpIは, ICR前後で各々26(22.1-39.9)から16.8(14.3-19.5)mmHg(P=0.001), 4.4(3.6-6.4)から2.4(1.9-3.0)U・m2へ有意に低下していた(P<0.001). ICR後もPHが残存したのは2例のみだった. 【結論】T18ではPABを施行してもPHが残存する症例がある一方で, ICR前にPHを認めた症例でも術後有意にmPAPとRpIの改善を認めた.