講演情報

[I-P03-3-06]18トリソミー児の心疾患に対する外科治療

野間 美緒1, 今中 佑紀1, 秋山 章1, 保土田 健太郎1, 吉村 幸浩1, 山田 浩之2, 小山 裕太郎2, 永峯 宏樹2, 大木 寛生2, 前田 潤2, 三浦 大2 (1.東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科, 2.東京都立小児総合医療センター 循環器科)
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キーワード:

18トリソミー、心疾患外科治療、予後

【はじめに】18トリソミー児では、長らく先天性心疾患に対する外科的治療適応はないとされてきたが、近年、治療介入による生命予後の改善が多数報告されるようになってきた。【目的】当院における18トリソミー児の心疾患に対する外科的治療介入の現状を調査する。【対象と方法】2010年~2024年に、当院で診療された18トリソミー児86例について、診療録より後方視的に調査した。【結果】女児が62例(72%)。出生は37週1758g、Apg3/6(中央値、以下同)。胎児診断あり43例(50%)、母体年齢37.5歳。全例心疾患の合併があり、単純心疾患(VSD、ASD、PDA)59例(69%)、複雑心疾患27例(31%)。心臓以外では食道閉鎖15例、腎・泌尿器系異常6例、口唇口蓋・額裂5例、鎖肛4例、脊髄髄膜瘤3例など。出生後の初回生存退院は61例(72.6%)、1・5・10年生存率は52・25・22%で、15歳以上の生存例が3例、最年長は18.5歳であった。心疾患に対する外科的治療は肺動脈絞扼術PAB11例、PAB後VSD閉鎖による根治手術ICR4例など。年代による症例数や外科的治療介入頻度に変遷はなかった。単純心疾患では、PABの有無による初回生存退院率には差はなかったが、その後の生存率はPAB施行例で良好であった。複雑心疾患では、生存退院は単純心疾患に劣るが、生存率には差がなかった。全症例では、心疾患に対する外科的治療介入の有無による生存退院は有意差に及ばなかったが、その後の生存率は心疾患介入による延命効果が認められた。PABのみとICR施行例では生存率に差はなかった。【まとめ】今回の結果は、心疾患やそれ以外の多様な合併症と、その重症度が多岐にわたり、また選択バイアスも大きい症例群の限定されたものであると考えられた。今後、外科的治療介入は増えていくことが予想されるが、18トリソミー児が限られた生命をどう生きるのか、ご家族が患児とどう過ごしたいのか、の判断の助となる情報提供にはさらなる症例の蓄積が必要と考えられた。