講演情報

[I-P03-3-07]肺動脈絞扼術後の重症肺高血圧に対してtreat and repairを行った心室中隔欠損症を伴う18トリソミーの一例

町原 功実1, 小田中 豊1, 水岡 敦喜1, 蘆田 温子1, 尾崎 智康1, 岸 勘太1, 鈴木 昌代2, 小西 隼人2, 根本 慎太郎2, 芦田 明1 (1.大阪医科薬科大学病院 小児科, 2.大阪医科薬科大学病院 小児心臓血管外科)
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キーワード:

18トリソミー、肺高血圧、treat and repair

【背景】18トリソミー(T18)では、肺高血圧(PH)の合併が多く、予後に影響することが知られている。適切な時期に肺動脈絞扼術(PAB)を行ったが、重症PHを認め、肺血管拡張剤を導入し、手術適応となったT18症例を経験した。【症例】9ヶ月女児。胎児期に心室中隔欠損症(VSD)、絨毛検査でT18と診断。在胎35週2日、胎児機能不全で緊急帝王切開にて出生(1344g、Ap 5/8)。出生直後より人工呼吸管理を要した。徐々に心拡大、肺血流増加を認め、日齢48でPABを施行。術後よりPAB部位の流速が2.5m/sとPHを疑う所見を認めた。また、気管支軟化症による抜管困難があり、日齢113に気管切開術を施行。術後6ヶ月で心臓カテーテル検査を施行。平均肺動脈圧(mPAP)=46mmHg、肺血管抵抗値(Rp)=15.1WU*m2、肺体血流比(Qp/Qs)=0.9。100%酸素+NO20ppm負荷では、mPAP=36mmHg、Rp=9.5WU*m2、Qp/Qs=1.1。閉鎖術適応はなしと判断、肺血管拡張剤の投与を行い再評価する方針とし、タダラフィルとマシテンタンを導入。導入後、PAB部位の流速が3.5m/sとなった。導入2ヶ月後に再度心臓カテーテル検査を施行。mPAP=27mmHg、Rp=5.4WU*m2、Qp/Qs=1.4。100%酸素+NO20ppm負荷で、mPAP=25mmHg、Rp=3.5WU*m2、Qp/Qs=2.0。閉鎖術適応があると判断し、心内修復術を施行。【考察】T18に対して肺血管拡張剤を用いた検討は少なく、PAB後に肺血管拡張剤を使用した報告はない。今回、PAB後にも関わらず重症PHを呈したT18症例を経験し、2剤併用による肺血管拡張薬が効果的であった。Treat and repair strategyはT18に伴うPAB後のPHに対しても有効な手段のひとつと考えられた。