講演情報
[I-P03-3-08]早期に肺高血圧が進行し手術介入困難であった18トリソミー症例の検討
○横溝 亜希子1, 関 満1, 五味 遥1, 森田 裕介1, 古井 貞浩1, 岡 健介1, 松原 大輔1,3, 佐藤 智幸1, 田島 敏広1, 岡 徳彦2 (1.自治医科大学 とちぎ子ども医療センター 小児科, 2.自治医科大学 とちぎ子ども医療センター 小児先天性心臓血管外科, 3.国際医療福祉大学病院 小児科)
キーワード:
18トリソミー、肺高血圧、手術適応
【背景】18トリソミーは高率に心疾患を合併するが、肺血管閉塞性病変が早期に進行する可能性があり、治療介入時期の判断が難しい。当院では在宅移行を前提とした家族の治療希望の上で18トリソミー児の心臓手術を施行している。重度肺高血圧の進行により心内修復術あるいはPABを断念した3症例の臨床経過を検討する。【症例1】在胎41週、2362gで出生。ファロー四徴症と診断。生後4か月頃から低酸素血症が進行し、右室流出路狭窄によるものと判断しβ遮断薬を開始したが、1歳時の心臓カテーテル検査では右室流出路狭窄は軽度で、Mean PAP 48mmHg, Qp/Qs 1.3, Rp 14.8であった。酸素負荷に反応あり、1歳1か月時にPABを施行後に肺血管拡張薬2剤内服併用したが、肺高血圧の改善なく、心内修復術の適応なしと判断した。 【症例2】在胎40週、1945gで出生。合併心疾患はVSD、PDA。他院で出生し、手術希望があったため生後6か月時に当院紹介。生後8か月時に心臓カテーテル検査を施行。Mean PAP 40mmHg、 Rp 6.0, 酸素負荷後Rp 4.7に軽度低下したが、手術により児のQOLがあがるかの判断は難しかった。再度家族と相談し、手術介入しない方針とした。【症例3】在胎37週、1709gで出生。合併心疾患はVSD、PDA。他院で出生。食道閉鎖(C型)に対し、胃瘻造設、下部食道banding術を、肥厚性幽門狭窄症に対し幽門筋層切開術を施行。心疾患に対しても手術希望あり、生後3か月時に当院に転院したが、誤嚥性肺炎を繰り返し、生後7か月時に施行した心臓カテーテル検査でMean PAP 60mmHg, Rp 9.7と高値であった。酸素負荷への反応もなく、手術介入は困難と判断した。【まとめ】18トリソミー児では生後早期から閉塞性肺血管病変が進行する可能性があり、治療希望がある場合は早めの評価が望ましい。特に新生児管理や心外合併症治療が優先される場合は心臓手術時期が遅くなることも多く、計画的な評価と介入をする必要がある。