講演情報

[I-P03-4-08]CHD術後の乳糜胸に対する術後早期リンパシンチグラフィの意義と効果

田邊 雄大1, 荒川 貴弘1, 竹澤 芳樹1, 小野 頼母1, 其田 健司1, 小泉 沢1, 熊江 優2, 松尾 諭志2, 崔 禎浩2 (1.宮城県立こども病院 集中治療科, 2.宮城県立こども病院 心臓血管外科)
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キーワード:

集中治療、乳糜胸、画像診断

【背景】先天性心疾患(CHD)の術後合併症の中でも、難治性乳び胸は生命予後に直結する重篤な合併症である。近年はcentral lymphatic flow disorder(CLFD)や胸管損傷、pulmonary lymphatic perfusion syndrome(PLPS)が機序として明らかになったが、その治療方法は確立していない。CLFDは、リピオドール塞栓の適応はなく、かつ治療困難が予想されるが、PLPSや胸管損傷は、リピオドール塞栓の適応になる可能性がある。そのために、当院では、CHD術後の乳び胸に対して、治療方針の確立を目的としてリンパ管シンチグラフィ(LS)を可能な限り早期に行っている。乳び胸症例を振り返り、その意義について考えたい。【症例提示】症例1:severe ASの女児。生後早期に2度のAVPを行い、日齢14にDSC。その後、徐々に胸水が増加。日齢35にLSを実施し、CLFDと診断。CLFDであるために、リピオドール塞栓は適応なしと判断。日齢38にリンパ静脈吻合(LVA)を実施。日齢41に胸腔ドレーン抜去。その後ICU退室。症例2:RAI、SRV、混合型TAPVC、PVOの女児。日齢10にTAPVC修復・BTシャントを実施。POD6から胸水増加。POD9にLSを実施。PLPSか胸管損傷と診断。心内短絡があるために、リピオドールは適応外と判断。自己血による胸膜癒着などを行い、POD18には胸腔ドレーン抜去。再燃なく、ICUを退室。症例3:TGA1の男児。日齢5にJatane実施。POD8でDSCに至ったが、胸水が多く、POD14でLS実施。PLPSか胸管損傷と診断。心内短絡がないので、リピオドール塞栓を実施。その後も乳び胸腹水は遷延し、LVAも実施したが、難治性乳びの管理を継続して、ICUに長期滞在中。【結語】LSから推定される機序に応じた治療方針を判断できているが、その有効性はまだ明確ではなく、症例蓄積が必要である。今後は、リンパ管への積極的治療(リピオドール塞栓・LVA)の効果、CLFD症例の治療方針についての検証も必要である。