講演情報

[I-P03-5-03]劇症型心筋炎から移行した慢性活動性心筋炎の1例

飯田 尚樹1, 稲熊 洸太郎1, 豊田 直樹1, 石原 温子1, 若見 達人2, 森 おと姫2, 吉澤 康祐2, 高原 賢守3, 伊藤 雄介4, 佐藤 幸人5, 坂崎 尚徳1 (1.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科, 2.兵庫県立尼崎総合医療センター 心臓血管外科, 3.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児科, 4.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児救急集中治療科, 5.兵庫県立尼崎総合医療センター 循環器内科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

心筋炎、循環補助用心内留置型ポンプカテーテル、免疫抑制剤

【緒言】経皮的補助循環を要する劇症型心筋炎で発症し、その後慢性活動性心筋炎へ移行した症例について報告する。【症例】12歳女子が3日前からの発熱、頻回嘔吐のため当院紹介となった。来院時の心エコー検査でLVEFは保たれていたが、心電図検査で完全房室ブロックを認め、血液検査ではCKMB・BNP・トロポニンIの著明高値に加え、多臓器障害の所見を認め劇症型心筋炎と診断した。経静脈ペーシングを開始したがまもなく心室頻拍による循環不全を認め同日V-A ECMOを導入した。ECMOからの離脱が困難であったため、入院7日目に循環補助用心内留置型ポンプカテーテル(以下、IMPELLA)を併用開始した。10日目にECMOを離脱でき、16日目に大動脈内バルーンパンピングを経て21日目に経皮的補助循環を離脱した。離脱後も炎症反応は弱陽性が持続し、断続的に心房頻拍も認めたことから心不全治療に加えステロイド投与、抗不整脈治療を行ったが心不全の改善は乏しく循環作動薬を中止できない状態であった。FDG-PETで心臓の持続炎症所見と心筋生検でリンパ球浸潤・心筋障害・線維化を認めたことから慢性活動性心筋炎と診断し、免疫抑制剤を開始したところ、徐々に全身状態や心機能は改善し退院に至った。【結語】小児の報告例は限られるが、V-A ECMO離脱困難例においてIMPELLAの併用は経皮的補助循環離脱に有用と考える。また、本例では免疫抑制剤が心機能や循環動態の改善に有効であったと考えるが、慢性活動性心筋炎の予後は一般的な心筋炎後と比較して不良な可能性が指摘されており、今後も慎重なフォローを要する。