講演情報

[I-P03-5-04]機械学習を用いた劇症型心筋炎の死亡予測に関連する臨床的特徴とサイトカインの検討

野村 羊示1, 鈴木 孝典2, 国田 勝行3, 山田 佑也1, 伊藤 諒一1, 田中 優1, 今井 祐喜1, 鬼頭 真知子1, 河井 悟1, 安田 和志1 (1.あいち小児保健医療総合センター, 2.トロント小児病院 Labbat Family Heart Centre, 3.藤田医科大学医学部 情報生命科学)
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キーワード:

劇症型心筋炎、サイトカイン、機械学習

【背景】劇症型心筋炎(fulminant myocarditis; FM)は致死的不整脈や心原性ショックから、致死的な経過を辿る疾患である。FMは早期治療介入が重要だが、従来の臨床的特徴にサイトカインプロファイルを加えることで、早期診断と効果的な治療介入につながる可能性がある。
【目的】小児FMの臨床的特徴及び血中サイトカインを用いて機械学習モデルを構築し、死亡に関連する因子を同定する。
【方法】2012年1月から2022年12月の期間に当院に入院したFMの患者を対象とした。急性心筋炎の診断は心筋生検または急性心不全症状と高感度troponin Tの上昇とし、FMは機械的循環補助を要した患者と定義した。対象患者の臨床的特徴と血中サイトカインをPartial Least Squares Discriminant AnalysisおよびLeave-One-Out Cross-Validationを用いて生存判別を予測する機械学習モデルを構築した。予測結果に基づきVIP(Variable Importance in Projection)スコアを算出し、1以上の因子を死亡に関連する因子とした。
【結果】FMは21人(男児7人)、年齢の中央値は9.4歳(2か月-15歳)だった。死亡例は7例(33%)だった。機械学習モデルの予測精度は86%、ROC曲線下面積は0.92だった。VIPスコアではTNF-α、IL-8、IL-6、IL-15、PDGF-AAなどのサイトカイン20種、pH, Lactate, CK-MBは死亡に関連していたが、心エコーの左室駆出率、troponin Tは関連がなかった。
【結論】TNF-αをはじめとしたサイトカインは小児FM患者の予後に関係する可能性があり、将来的な治療のため、更なる研究が望まれる。