講演情報
[I-P03-5-06]肺動脈絞扼術と心臓再同期療法が著効した特発性拡張型心筋症の乳児例
○竹蓋 清高1, 新川 武史2, 吉田 尚司2, 山形 顕子2, 島田 衣里子1, 朝貝 省史1, 石戸 美妃子1, 竹内 大二1, 矢野 瑞貴3, 東 浩二3, 稲井 慶1 (1.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科, 2.東京女子医科大学 心臓血管外科, 3.千葉県こども病院 循環器内科)
キーワード:
DCM、肺動脈絞扼術、CRT
【背景】拡張型心筋症小児例に対する肺動脈絞扼術が心不全症状の改善や心臓移植を回避しうると海外では報告されているが,本邦における有効例は未だ報告がない.我々は心室内伝導障害を伴う特発性拡張型心筋症の乳児に対して肺動脈絞扼術と心臓再同期療法を併施し,良好な結果を得たので経過を報告する.
【症例】2ヶ月女児,54cm,4.1kg.胎児期から心室中隔基部の菲薄化と同部位のparadoxical movementを認め,出生後に拡張型心筋症と診断した.生後1ヶ月の心エコーではLVDd/Ds 45/42mm,LVEF 10%,MR moderate,TR mild,心電図ではHR 165bpm,左脚ブロック,QRS幅 164msであった.内科的治療に抵抗性であるが心臓移植希望はなく,肺動脈絞扼術と心臓再同期療法目的に当院搬送となった.
【治療後経過】手術は正中切開でアプローチ。肺動脈絞扼は0.4mm ePTFEテープ (1mm幅)を全周24mmで絞扼した.経食道心エコーで右室機能良好,TR mild,肺動脈絞扼部流速 2.4m/s,術中の圧測定では右房圧 9mmHg,左房圧 14mmHg (手術開始時右房圧 5mmHg、左房圧 17mmHg) であった.心臓再同期療法は心房リードを右心耳に,心室リードを左室心尖部と左室側壁(鈍角枝後方)に縫着した.術後経過は良好で,術後11日目に抜管,術後58日目にカテコラミンを離脱した.術後104日の心エコーではLVDd/Ds 42/38mm、LVEF 18%、MR mild、TR trivial、肺動脈絞扼部流速 2.5m/s、心電図ではQRS幅 134msであった.術後116日に退院した.
【結語】心室内伝導障害を伴う特発性拡張型心筋症に対する肺動脈絞扼術および心臓再同期療法が有効であった乳児例を経験した.拡張型心筋症に対する肺動脈絞扼術の更なる経験の蓄積と有効性の検証が必要である.
【症例】2ヶ月女児,54cm,4.1kg.胎児期から心室中隔基部の菲薄化と同部位のparadoxical movementを認め,出生後に拡張型心筋症と診断した.生後1ヶ月の心エコーではLVDd/Ds 45/42mm,LVEF 10%,MR moderate,TR mild,心電図ではHR 165bpm,左脚ブロック,QRS幅 164msであった.内科的治療に抵抗性であるが心臓移植希望はなく,肺動脈絞扼術と心臓再同期療法目的に当院搬送となった.
【治療後経過】手術は正中切開でアプローチ。肺動脈絞扼は0.4mm ePTFEテープ (1mm幅)を全周24mmで絞扼した.経食道心エコーで右室機能良好,TR mild,肺動脈絞扼部流速 2.4m/s,術中の圧測定では右房圧 9mmHg,左房圧 14mmHg (手術開始時右房圧 5mmHg、左房圧 17mmHg) であった.心臓再同期療法は心房リードを右心耳に,心室リードを左室心尖部と左室側壁(鈍角枝後方)に縫着した.術後経過は良好で,術後11日目に抜管,術後58日目にカテコラミンを離脱した.術後104日の心エコーではLVDd/Ds 42/38mm、LVEF 18%、MR mild、TR trivial、肺動脈絞扼部流速 2.5m/s、心電図ではQRS幅 134msであった.術後116日に退院した.
【結語】心室内伝導障害を伴う特発性拡張型心筋症に対する肺動脈絞扼術および心臓再同期療法が有効であった乳児例を経験した.拡張型心筋症に対する肺動脈絞扼術の更なる経験の蓄積と有効性の検証が必要である.