講演情報
[I-P03-5-09]心膜炎による心窩部痛を契機に発見された混合性結合組織病の1例
○松井 亮介, 渡邉 誠, 泉田 健介, 嶋田 香苗, 橋本 佳亮, 橋本 康司, 阿部 正徳, 上砂 光裕 (日本医科大学 小児科)
キーワード:
心膜炎、膠原病、胸痛
【背景】膠原病は心膜炎や心筋炎などの心合併症を引き起こすことが知られている。しかし多くの場合、初発症状として不明熱や皮膚所見を認め、心合併症は診断から数か月~数年後に出現することが多い。今回、心窩部痛を初発症状として認め、混合性結合組織病(MCTD)および心膜炎と診断された1例を報告する。【症例】14歳女児。X-7日より頸部および腋窩のリンパ節腫脹を認め、リンパ節炎と診断されていた。X-3日に心窩部痛を自覚され、X日に前医を受診し、CK高値、Trop-T陽性を認め、心筋炎が疑われ当院に紹介された。当院初診時、CK 1334 IU/L、CK-MB 39.5 ng/mL、Trop-T 0.137 mg/dLと高値を示し、心電図でもaVL誘導に異常Q波、III、aVf、V1、V2、V3誘導に陰性T波を認めた。心エコー検査では心機能低下は認めなかったが、心筋炎疑いにて入院加療とした。自覚症状および陰性T波は数日で消失したが、心筋逸脱酵素の値は横ばいで推移し、二次性心筋炎の可能性を考慮し診察を進めたところ、X+11日にレイノー現象を認めた。IgG 2099 mg/dL、抗核抗体 2560倍、抗U1RNP抗体 111.3 U/mLと高値を示し、混合性結合組織病(MCTD)と診断した。発症から2週間以上経過しても心筋逸脱酵素に改善傾向を認めず、心筋生検および心臓MRIを施行したが、特異的な所見は得られず、最終的にMCTDに伴う膠原病性心膜炎と診断した。診断後、ステロイド内服治療を開始し、心筋逸脱酵素の改善を認め、現在も外来フォローを継続している。【考察・結語】本症例では、先行感染の病歴や持続する心筋逸脱酵素の上昇を認めたが、組織診断と心臓MRIで心筋炎の特異的所見が得られず心膜炎と診断した。小児の心筋炎は感染を契機として発症することが多いが、膠原病や薬剤性に続発する心筋炎の可能性も考慮する必要がある。