講演情報
[I-PAL-4]小児心臓移植登録患者における待機状態の評価と予後及びリスク因子解析
○水野 雄太1, 河島 裕樹1, 土居 秀基1, 西木 拓己1, 小澤 由衣1, 榊 真一郎1, 白神 一博1, 益田 瞳1, 犬塚 亮1, 鹿田 文昭2, 小野 稔2 (1.東京大学医学部附属病院 小児科, 2.東京大学医学部附属病院 心臓血管外科)
キーワード:
心臓移植、補助人工心臓、マルチステートモデル
【背景】2010年の改正臓器移植法施行後も国内の小児脳死心臓移植数は少なく、予後やリスク因子に関するデータは乏しい。さらに待機中のQOLに関わる補助人工心臓(VAD)の有無に関連した解析も十分になされていない。【目的】当院における小児心臓移植登録患者の待機状態と予後及びリスク因子を明らかにする。【方法】2004年から2024年に当院にて心臓移植登録を施行、もしくは他院で登録し当院に施設変更した、18歳未満の105名を対象とした。VAD未導入、VAD導入中、VAD離脱、移植到達、移植前死亡の5つの状態を設定し、マルチステートモデルを用いて各状態占有確率の時間変化を推定した。さらに各状態間の原因別遷移ハザードを求め、リスク因子を解析した。なおVADは植込み型とEXCOR® Pediatricを対象とした。【結果】男児65例、女児40例で、登録時年齢は中央値7.9歳(四分位範囲1.7-15.2歳)であった。疾患はDCM 53例、RCM 15例、CHD術後10例、LVNC 8例、心筋炎後心筋症5例、HCM 4例、その他10例で、移植到達は47例であった。移植登録時点ではVAD未導入55例、VAD導入中50例であったが、移植登録後5年/10年時点では、移植回避生存率は27.0%/17.8%(うちVAD未導入17.4%/11.1%、VAD導入中5.4%/2.5%、VAD離脱4.2%/4.2%)、移植到達率は52.7%/61.8%、移植前死亡率は20.4%/20.4%であった。移植登録後のVAD導入ハザードはRCMが有意に低く(p<0.01, HR 0.05)、VAD導入中の死亡リスクは血液型ではB型が有意に高かった(p=0.02, HR 4.3)。【結論】各遷移ハザードのリスク因子を追加解析予定だが、移植登録後の待機状態と予後及びリスク因子における詳細な情報は、ドナー資源の最適なアロケーションに有用となり得る。