講演情報
[I-PD1-3]Fontan手術時に肺動脈内隔壁作成(IPAS)を併施し片肺フォンタンを作成、続くカテーテル治療で両肺フォンタンを完成させる治療方針の検討
○伊藤 弘毅, 廣瀬 圭一, 五十嵐 仁, 中村 悠治, 前田 登史, 渡部 聖人, 菅藤 禎三, 安野 優樹, 坂本 喜三郎 (静岡県立こども病院 心臓血管外科)
キーワード:
Fontan、左右肺血流、カテーテル治療
良好なFontan循環にはバランスの良い左右肺血流が必須となる。当院では不均衡な肺血流を是正する手段として両側両方向性Glenn手術(BDG)と同時に低形成肺動脈側を体肺動脈シャント血流とし左右肺血流を分離するIPAS(intra-pulmonary artery septation)を行って来た。しかし、時にBDG後にIPASを要する事もある。そのような症例に対して、Fontan手術時にIPASを併施し、肺動脈の成長を待ち、待機的にカテーテル治療で両肺Fontanを完成させる方針をとっている。この治療方針の妥当性を検討した。【症例】2006-2024年の間にFontan手術を行ったのは223例。同期間内でIPASを併施したのは5例。Fontan/IPAS手術時の年齢体重は中央値で5.7歳(2.1-9), 15kg(8.4-23)。疾患は三尖弁閉鎖2例、Ebstein奇形2例、左心低形成1例。全例心外型導管を使用し導管径は16mm1例/18mm3例/20mm1例、うち3例にFenestrationを置いた。一方シャントサイズは4mm2例/5mm2例/6mm1例。併施手術は左肺動脈形成が2例、左肺静脈狭窄解除が1例、房室弁形成が1例だった。バルーンないしステントで裂開再交通できるよう隔壁にはスリットを作成した。【結果】退院までの日数は中央値56日(21-108)だった。フォローアップ期間は平均7.4±7.8年。全例生存。IPAS解除は4例(カテーテル3例, 手術1例)に行い待機期間は平均1.5±0.4年だった。残り1例は待機中(2ヶ月)。カテーテルでの隔壁裂開は全例ステントを留置し、シャントは塞栓した。両側フォンタン完成後のフォローアップカテーテル検査は、CVP14mmHg(11-18), CI3.5L/min/m2(2.3-3.6), SaO2 92%(88-94%) , PAindex 298(176-350)だった。【結語】Fontan手術時にIPASを併施した症例は術後長期入院を要する場合もあるが患側肺動脈の成長は得られた。続くカテーテル治療で両肺フォンタンを完成することが出来ている。この治療方針は症例を選べば妥当である可能性がある。