講演情報

[I-PD4-1]冠動脈後遺症克服に向けた橋渡し研究 ~自然免疫制御機構を標的とした新規川崎病治療法の開発~

岡田 清吾1,2 (1.山口大学大学院医学系 研究科医学専攻 小児科学講座, 2.ハーバード大学医学部 ボストン小児病院 免疫学分野)
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キーワード:

alarmin、冠動脈病変、サイトカイン

近年、川崎病発症に自然免疫が関与しているという自然免疫説が有力視されている1)。インターロイキン(IL)-33はIL-1ファミリーに属するサイトカインで、血管内皮細胞や上皮細胞の核内で恒常的に発現している。IL-33はネクローシスにともない核内から放出され様々な疾患で炎症を惹起するalarminとして機能し、一部の急性期川崎病患者の血清中で上昇していることが報告されている。当教室では自然免疫制御機構IL-33/ST2系が川崎病冠動脈炎の増悪に関与しており、IL-33/ST2系標的薬が川崎病新規治療薬となり得る可能性を細胞レベルで報告した2,3)。現在、九州大学小児科で開発されたNod1リガンドモデルマウス4)を用いたIL-33/ST2系の解析を共同研究として行い発展させている。本シンポジウムでは当科がこれまでに行ってきた細胞・動物を用いた基礎研究内容を中心に、臨床応用に向けた展望も含めて概説する。

【参考文献】
1. Hara T, et al. Clin Transl Immunology 2021;10:e1284.
2. Okada S, et al. Circ J 2024;88:1709-14.
3. Okada S, et al. Inflammation 2023;46:480-90.
4. Motomura Y, et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol 2015;35:1423-33.