講演情報

[I-PD5-1]心室中隔欠損・慢性肺疾患・肺高血圧合併の超早産児の治療戦略 症例と文献レビュー

佐藤 あかり1, 関根 麻衣1, 川崎 秀徳1, 石戸 博隆1, 岩本 洋一1, 先崎 秀明2, 枡岡 歩3, 沼野 藤人4, 宗内 淳5, 満下 紀恵6, 増谷 聡1 (1.埼玉医科大学総合医療センター 小児科, 2.日本医療科学大学 小児地域総合医療学講座, 3.埼玉医科大学国際医療センター小児循環器科、小児救命救急科, 4.新潟大学医歯学総合病院 小児科, 5.独立行政法人地域医療機能推進機構九州病院 小児科, 6.静岡県立こども病院 循環器科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

心室中隔欠損、慢性肺疾患、肺動脈絞扼術

【背景】心室中隔欠損(VSD)に慢性肺疾患(CLD)と肺高血圧(PH)を合併した症例では、心内修復術後に血行動態が不安定となるリスクがある。肺高血圧として許容される条件の時、一期的心内修復術と肺動脈絞扼術を先行させた二期的修復のいずれがよいかは不明である。自験例と文献レビューを報告する。【症例】在胎23週4日、出生体重540gで出生。ほぼ右左短絡のVSD(肺動脈弁下型)を認め、重症CLD(3型)を合併した。17か月時、両方向性短絡・PRPG 65 mmHg(平均血圧 64 mmHg)だったが心カテで全麻下、FiO2 0.6でQp/Qs 2.5、PVR 2.6 U・m2と、呼吸管理下では一期的閉鎖も考慮した。しかしCLDの重症度を考慮して肺動脈絞扼術を先行させ、気管切開・在宅酸素療法で退院、CLDの改善を待ち4歳時に二期的にVSDを閉鎖した。5歳時に気管切開を閉鎖、9歳で軽度肺高血圧が残存し肺血管拡張薬を継続中。【文献レビュー】2024年9月にVSD/CLD/PHを合併した超早産児の症例をPubmed、医中誌で検索し著者から追加情報を集め、手術介入の時期や方法、予後を比較した。本例を含め5例の報告があり、肺動脈絞扼術を先行した2例は二期的にVSDを閉鎖し生存。一期的VSD閉鎖術を施行した3例中2例が生存。死亡の1例は、当時NO吸入が困難で肺血管拡張薬の限られていた2004年報告のTrisomy 21合併の1例で、術翌日にPH crisisで死亡。5例中3例(生存例)が気切を受け、後に閉鎖した。【考察】抽出された報告は5例のみであった。本検討からいずれのVSD治療方針がよいかの結論は見出せない。しかし肺高血圧を伴うVSDの一般的な閉鎖適応基準は重症CLD合併例には単純に当てはめることはできず、症例に応じて慎重な検討が必要である。今後の更なる症例の蓄積が必要と考えられた。