講演情報

[I-PD5-3]肝移植を行ったPOPH

馬場 志郎 (京都大学医学部附属病院 小児科)
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キーワード:

門脈肺高血圧、肝移植、肺高血圧治療薬

門脈肺高血圧(POPH)は肝疾患に伴う肺高血圧で予後不良疾患である。原疾患である肝臓病をコントロールしながら肺高血圧治療を併用することが必要である。しかしながら、薬物治療によって一旦改善した肺高血圧も肝疾患の進行に伴い再度悪化することは少なくない。このような症例に対し、根本的な治療として肝移植が必要となる。当院においては周術期死亡率の過去報告データをもとに、平均肺動脈圧 35mmHg未満を肝移植の適応としており、小児肝移植前の肺高血圧管理、肝移植後の肺高血圧治療継続を小児循環器医が主体となって行っている。これら症例データの解析によると、肝移植後の肺動脈圧は徐々に低下していくが、肺高血圧治療薬を中止すると再度肺血圧が上昇する症例がほとんどであり、肝移植後においても長期において肺高血圧治療継続を余儀なくされる。このような患者の心臓超音波検査、採血検査、心臓カテーテル検査の経時的変化を解析し、肝移植前後の肺高血圧改善機序について解明し、今後の治療の方針を議論したい。