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[I-PPD1-4]小児期発症の肺動脈性肺高血圧における移行期医療

高月 晋一 (東邦大学医療センター大森病院小児科)
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キーワード:

小児期発症、肺高血圧、移行期医療

肺動脈性肺高血圧(pulmonary arterial hypertension; PAH)は新生児から成人までの全ての年齢層に生じうる病態である。小児期に発症したPAHは成人期に比して肺動脈圧が高い一方で、右心機能は保たれる。治療反応性は良好であり、最重症例を除き成人患者と同等の生命予後であることが報告されている。この小児PAHの治療戦略を立てるにあたり、成人PAHと異なる特性を理解した上で治療を行う必要がある。この小児期発症患者が成人期に達しても成人期発症の症例とは異なる治療反応性を示すことも重要な点である。管理において難しい点は、成人患者よりも活動性が高く、内服順守が困難な症例も多い点がある。疾患自体の重症が高い割に、一旦血行動態が安定すると病識が得られにくく、思春期以降には管理に難渋することも少なくない。また、特に女児では成長発達や二次性徴を迎えることによって、肺血行動態が大きく影響されることも挙げられる。成人期に達すると、妊娠出産の希望や就労やキャリアの選択を迫られる。治療が難渋する症例では、メンタル不調を訴えることが多く、管理において大きな弊害になる。このように小児患者の難しさは、このような成長の過程で直面する様々な医療以外の問題を抱えることにあり、担当する医師だけでは解決は困難である。多職種で患者とその保護者に関わっていくことは最も重要である。本シンポジウムでは実際の症例の経験を提示しながら、移行期医療の重要性を共有してたい。