講演情報
[I-PPD1-5]AYA世代のMarfan症候群の管理状況と、今後の課題
○福嶋 遥佑1, 中川 直美1, 大西 佑治1, 岡本 健吾1, 守家 将平1, 片岡 功一1, 鎌田 政博1, 立石 篤史2, 久持 邦和2 (1.広島市立広島市民病院 循環器小児科, 2.広島市立広島市民病院 心臓血管外科)
キーワード:
Marfan症候群、遺伝、成人移行
【背景】Marfan症候群は症状が多彩で、発症時期も異なる。特に心血管イベントは患者の生命予後に大きな影響を与え、生涯を通じてフォローアップが必要な疾患である。【対象/方法】80例の定期通院患者を、循環器小児科24例(年齢4-37歳; 中央値15歳)、心臓血管外科49例(年齢17-68歳; 中央値53歳)、循環器内科9例(年齢19-82歳; 中央値58歳)で管理している(併診例を含む)。当院での患者紹介状況と、15歳から39歳までのいわゆるAYA(Adolescent and Young Adult)世代のフォローアップの現状を知るために、2000年以降に病名登録している患者を診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】新規患者(手術未実施症例)の紹介先・紹介時年齢は、循環器小児科26例;中央値12歳(1.6-16.2)、循環器内科9例;中央値28歳(16.0-66.5)、心臓血管外科2例;16歳と28歳だった。次に、AYA世代患者は28例で、内訳は男17例,女11例。年齢中央値は29±8歳。循環器小児科13例, 心臓血管外科10例、循環器内科5例。AYA世代の手術症例は8例(29%)で、Bentall手術(4例)、David手術(3例)、胸部大動脈下方置換術(1例)が施行された。手術時期は、中央値26歳(12-33歳)。6例は大動脈基部の経時的拡大により手術適応を満たし予定手術を施行、1例は12歳でB型解離、1例は妊娠中にA型解離を発症し、いずれも発症を契機にMarfan症候群と診断された。院内での移行はスムーズとはいえず、循環器小児科から循環器内科に移行した症例がいない現状だった。【考察】心血管イベントに対し、AYA世代で介入が必要なことが少なくない。疾患重症度が高く、病気を受け入れるためには長期的配慮を要する。循環器専門病院ではない当院の限られた医療資源の中で、近隣の他施設にわたりシステムを構築することが今後の課題である。