講演情報
[I-PSY1-3]母子保健行政の最近の動向について
○木庭 愛 (こども家庭庁 成育局 母子保健課)
キーワード:
こども家庭庁、成育基本法、母子保健デジタル化
全てのこどもが健やかに成長でき、その権利が擁護され、将来にわたって幸せに生活することができる「こどもまんなか社会」の実現を目指し、令和5年4月に、政府全体のこども関連政策の司令塔として「こども家庭庁」が創設されてから2年が経過した。この間、令和5年12月に、こども基本法に基づく初めての「こども大綱」、そして、これまでとは次元の異なる少子化対策を進めるための「こども未来戦略」が閣議決定されるとともに、これらの政策を具体化・制度化するために、「子ども・子育て支援法等」が令和6年6月に改正された。母子保健分野においても、成育医療等基本方針等を踏まえ、保健・医療・福祉・教育などの幅広い分野との相互連携を図りつつ、次世代を担う成育過程にあるこどもの心身の健やかな成育が確保されるよう、科学的知見に基づく適切な成育医療等の提供に関する施策を推進することとしている。これまで、妊娠期や産後・子育て期を含めた様々なライフステージにおける切れ目のない支援を充実させるため、産後ケア事業の体制整備や乳幼児健診の充実など、自治体や関係者の協力を得ながら、様々な取組が進められてきた。乳幼児健診においては、先天性疾患のスクリーニング等を行う1か月児健診と発達障害のスクリーニングを主目的とする5歳児健診の支援事業が、令和5年度補正予算で創設された。また、母子保健のデジタル化も今後の主要な課題の一つである。乳幼児健診等について、住民、自治体、医療機関等の間で、情報を効率的に共有・連携できるよう、情報連携基盤(Public Medical Hub: PMH)を整備するとともに、これを活用した母子健康手帳の電子化に向けた検討も進めており、将来的に、全国で体制が整備されれば、国民にとって大きな利便性向上の効果が見込まれる。この機会に、母子保健のデジタル化に向けた検討状況を含め、母子保健行政の最近の動向について概説する。