講演情報

[I-PSY1-5]心音×AI:学校心臓検診における聴診DXの可能性と社会実装

小川 晋平, 植田 由依, 石川 仁太朗, 齊藤 旬平 (AMI株式会社)
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キーワード:

聴診、先天性心疾患、学校心臓検診

近年、医療DXの波は学校心臓検診にも及び、2024年11月には、関連6学会より「学校心臓検診のデジタル化に関する提言」が発表され、将来像として「地域における検診の質の標準化」「AIを含むICTの導入」「病診・学校間連携の強化」などが掲げられました。さらに、2025年3月に策定された「学校心臓検診ガイドライン」フォーカスアップデート版においても、学校心臓検診DXの方向性が明記され、実装フェーズに向けた道筋が整いつつあります。
法制度のもとで実施されている学校心臓検診は世界にも誇るべき日本独自の制度ですが、DXの推進により、検診の精度と標準化が一層進み、さらにそこで得られるデータが有効に活用されれば、将来的に大きな情報発信源となる可能性があります。
その中で注目されるのが、聴診のデジタル化です。聴診器の誕生から200年以上が経過した今でも、聴診によるスクリーニングの重要性は変わりませんが、聴診は医師の診療技術や周囲の環境に大きく依存し、結果の再確認や客観的な評価が困難です。また、将来的なビッグデータ活用の観点からも、デジタル化された心音データに比べて情報量に限界があります。
AMI株式会社は、2015年に設立された医療系研究開発型スタートアップであり、「心電・音質・可視化」をテーマに8年以上にわたる研究開発を続け、心音図検査装置「AMI-SSS01」シリーズは薬事承認を取得しています。また、AIを活用した成人弁膜症・心不全向けの遠隔医療支援システム「クラウド超診」も展開中です。心音×AIという新たな挑戦は、小児の心疾患や不整脈の早期発見への展開も期待されています。
本シンポジウムでは、AI医療機器スタートアップの立場から、心音のデジタル化がもたらす未来型検診の可能性を考察し、「超聴診器」の社会実装に向けた展望を共有する場としたいと考えています。