講演情報
[I-SY1-3]小児心臓外科手術の周術期における心停止と神経集中治療
○本村 誠1, 磯谷 肇男1, 和田 翔1, 糸見 和也2, 加藤 美穂子3, 安田 和志4, 村山 弘臣5, 池山 貴也1 (1.あいち小児保健医療総合センター 集中治療科, 2.あいち小児保健医療総合センター 神経内科, 3.あいち小児保健医療総合センター 脳神経外科, 4.あいち小児保健医療総合センター 循環器科, 5.あいち小児保健医療総合センター 心臓血管外科)
キーワード:
周術期、心停止、神経集中治療
【背景】小児心臓外科手術において、手術技術と術後管理が改善されているが、依然として周術期合併症は存在する。特に心停止は、生存率はもちろん神経学的転帰に影響を及ぼす合併症である。心臓外科術後の心停止の死亡率は40-50%と高く、また神経学的転帰は25%が予後不良(PCPC>3)との報告もある。当院PICUでは2015年のclosed ICU化に伴い、24時間毎の心停止リスク群の同定、定期的なCPR訓練、迅速なECMO導入システムの標準化に加えて、蘇生後管理に関して、集中治療科・循環器科・心臓血管外科だけではなく、神経集中治療としての側面を強化するために神経内科・脳神経外科も含めたチーム医療体制を構築してきた。【目的】小児心臓外科術後に心停止に至った症例の神経集中治療と神経学的転帰について記述する。【方法】2016年から9年間の該当症例の患者特性、蘇生事象、蘇生後管理(蘇生後7日間)、神経学的転帰を後方視的に検討した。数値は中央値(IQR)で示す。【結果】症例は26例(男児18例、女児8例)、月齢2ヶ月[1, 3.8]、体重3.3kg[3, 4.2]、PIM3 2.3 [1.4, 6.2]、単心室17例、RACHS-1 Category1:1例、2:5例、3:16例、4:1例、6:3例であった。蘇生はCPR単独10例、ECPR16例、CPR time7分[4, 22]、CPR適応は低心出症候群・ショック10例、不整脈7例、低酸素5例、その他4例であった。蘇生後管理は体温管理療法26例全例、神経モニタリングは持続脳波25例、頭部エコー14例で行い、神経学的予後評価はCT17例、MRI1例で施行し、脳出血3例、脳萎縮3例、低酸素脳症1例、脳ヘルニア1例であった。ICU生存は22例(85%)、神経学的転帰良好は生存例中20例(91%)であった。【考察・結語】心停止は小児心臓外科術後の周術期合併症として重要で、生存率及び神経学転帰にも影響を及ぼす。当院では診療科の垣根を超えて、専門性を持って多角的にチーム医療体制を構築することで、良好な神経学的転帰をもたらした可能性がある。