講演情報

[I-SY2-1]Ebstein病におけるCone手術の実際

笠原 真悟, 徳田 雄平, 清水 春奈, 小松 弘明, 門脇 幸子, 小林 純子, 黒子 洋介, 小谷 恭弘 (岡山大学心臓血管外科)
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キーワード:

Ebstein病、外科治療、Cone手術

(はじめに)Ebstein病三尖弁異常単独疾患ではなく、右室疾患の一部分症と理解することが重要で、このことが治療戦略を立てる上でも不可欠となる。この疾患の本態は右室及び三尖弁形成不全で、その病態として三尖弁閉鎖不全と機能不全のある拡大した不全右室が認められる。以前より、多くの三尖弁形成術が行われてきたが、Cone手術により三尖弁形成術の適応が拡大され、この疾患でのCone手術は第一選択である。(Cone手術の実際)この手術方法は三尖弁形成ではmonocuspに作り変えること、さらには右室形成(縫縮術)とともに、三尖弁を正常弁輪位置に再固定することを基本としている。ビデオにてCone手術を供覧するが、従来の手術に比べ、各弁尖の形成不全の症例にも適応拡大された。まず三尖弁を弁輪から外す。前尖の中央部から後尖方向に向かい、さらにdelamination不全の線維組織を可及的に切除し、三尖弁の可動域を確保する。Plasteringした後尖や中隔尖も右室壁からはがし、弁尖を確保する。右房化右室の縫縮を行い、本来の弁輪の縫縮も同時に行う。最後に本来の弁輪部に円錐状に形成した三尖弁を縫着して手術を終了とする。(症例)2010年から岡山大学ではCone手術が開始され、2024年1月まで48例(平均年齢19.0歳)に行われた。年長児及び成人例においては両心室治療が行われた48例中1例が単心室治療へ、1例が1.5 心室治療を行った。しかしながら遠隔期に2症例に人工弁置換術が行われた。人工弁置換術の1例は右心機能不全が進行し、1.5 repairととともに行った。人工弁置換術の症例は術直後の弁逆流は制御されていたが、右心不全の存在と進行により、tetheringの所見が認められ弁逆流が制御できない状況であった。【結語】Cone手術により三尖弁形成術の適応が拡大され成績も向上したが、右室機能の観点から、症状の発現前の状態を判断し、早期の手術介入が望まれる。