講演情報
[I-SY2-5]Norwood Operation : Tips and Pitfalls
○中野 俊秀 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)
キーワード:
左心低形成症候群、ノーウッド手術、大動脈弓形成
左心低形成症候群やその類似疾患に対するNorwood手術の目的は良好な形態の新大動脈弓の再構築と冠血流の確保、および肺血流供給路の作成と体肺血流比の安定化である。大動脈弓再建術式には従来より自己組織のみを用いた再建方法とパッチ素材を補填する方法が行われており、その術式も改良が加えられている。前者ではvertical elongationとhorizontal plicationのコンセプトで開発されたChimney法が普及し、また後者では扇形パッチを用いた大動脈弓再建法が提唱された。また再建大動脈弓遠位部の形態を整え、かつ術後の大動脈弓再狭窄を予防する観点からinter-digitating sutureの重要性も指摘されている。肺血流供給路としてはmodified BT シャントとRV-PAシャントが用いられるが、症例の血行動態的および解剖学的特性にて選択される。以前はRV-PAシャント症例における心室側吻合部の瘤形成や局所の心室機能低下が指摘されていたが、dunk法の出現でこの懸念は大きく減少した。体肺血流比の安定化には手術終了時に適宜シャントの部分的クリッピングを行うことで調整される。また手術中の体外循環法として腕頭動脈送血および下行大動脈送血を用いた分離体外循環を行うことで大動脈弓再建時にも循環停止を完全に回避することが可能である。このような術式の開発、改良と周術期管理法の進歩でNorwood手術の成績は近年向上している。