講演情報
[I-SY3-4]植え込み型除細動器の標準治療 -肥大型心筋症・ファロー四徴症術後の一次予防適応とは?-
○連 翔太1, 牛ノ濱 大也2, 住友 直方3 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.大濠こどもクリニック, 3.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)
キーワード:
植込み型除細動器、ファロー四徴症、肥大型心筋症
肥大型心筋症(HCM)の突然死リスクには、失神既往、左室壁の著明な肥厚(最大壁厚 ≧ 30mm)、2014 ESCガイドライン計算式でハイリスクに該当、突然死の家族歴、非持続性心室頻拍、運動時血圧反応異常などが報告されており、これらを有する数によって1次予防のICD植込み適応はclass2aから2bに該当される。一方、小児または若年成人でのHCMでは、一部の研究では16-18%に非持続性心室頻拍を有するともあり、突然死リスクは同様にあるものの、リスク層別化や一次予防のICDの植込み適応は成人ほど確立していない。ファロー四徴症の心内修復術後(rTOF)の成人期には、年齢と共に不整脈が増加し、海外の報告では約10%程度で心室性不整脈や突然死が報告されている。rTOFの突然死の5つの主要なリスク因子(左室機能不全、非持続性心室頻拍、QRS幅≧180ms、右室の広範な瘢痕化、侵襲的電気生理学的検査(EPS)における誘発性持続性心室頻拍(VT))が挙げられており、2018年日本循環器学会不整脈非薬物療法のガイドラインでは心臓突然死二次予防での植込み型除細動器(ICD)植込みは推奨クラス I の適応であるが、一次予防に関しては前述のリスク因子を伴う場合は推奨クラス2aであり、まだ議論中の課題である。特に、わが国のrTOFの突然死の報告は欧米よりも少ないこと、ICDの不適切作動や植込み関連合併症なども検討すべき点である。これら2つの突然死をきたし得る疾患は、一次予防のICD植込み適応にはそれぞれに課題があり、本発表ではこれらの課題を検討する。